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■ ディートを含有する虫よけ剤の安全対策について (2005年 09月 18日 23:31) ■平成17年8月30日付けの日本薬業新聞によれば、「ディート含有の虫除け剤については、昭和37年に医薬部外品製剤(含有量10%以下)、平成2年に医薬品製剤(含有量12%)が承認され、現在エアゾールタイプ・液体タイプ・ポンプタイプ・ティッシュタイプなど様々な製品が上市されています。これまで国内では薬事法に基づく副作用等の報告はないが、01-04年に米国デューク大学がラットで神経毒性を発現したとする論文4件を報告し、米国・英国・カナダなどで安全性に関しての再評価が行われていること、国民生活センターが今年6月に子供に使用した場合の安全性、使用上限量の表示などについて検討するよう要望を行ったことなどから、厚生労働省は専門家を招集して検討を行った」と報道しています。 ■厚生労働省は、平成17年8月15日に開催された「ディート(忌避剤)に関する検討会」の検討結果概要について、平成17年8月24日付けの通知「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」の別紙で次のように記載しています。 「(1)・ディートを含有する医薬品等は、わが国において多くのヒトが40年使用してきているにもかかわらず、現在まで薬事法に基づく副作用報告はない。 ・米国、カナダ、英国などにおいて、販売停止等の措置を講じている国はない。 ・デューク大学の研究グループが行ったラット皮膚塗布試験に関する報告については、関係する他の報告に比べ低用量でディートの神経系への影響が認められているが、試験方法の不備が見られるため、現時点では評価は困難である。 (2)このような状況において、ディートを含有する医薬品等について、現時点では、販売停止等の措置を講ずるだけの科学的根拠はないと考えられる。 (3)現在、国内で流通している製品については、使用方法等の記載が不明確なものが多いことから、適正使用を推進する観点から、製品中のディート濃度を明記させるとともに、カナダにおける記載(6カ月未満には使用しない、6カ月から2歳は1日1回、2歳から12歳は1日3回)を参考に、使用方法の目安等を明記させる必要がある。 (4)デューク大学の研究グループが報告している低用量において認められた神経毒性については、再現性等を確認するために追加試験を行う必要がある。また、ディートの神経毒性について、今後も同様な研究報告に注目していく必要がある。」 ■これを受けて、厚生労働省医薬食品局安全対策課はディートを含有する医薬品及び医薬部外品の安全対策について、平成17年8月24日付けで通知「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」を都道府県、保健所設置市、特別区衛生主管部(局)長宛に発出されました。その概要は次の通りです。 『ディート(化学名:ジエチルトルアミド)を含有する医薬品及び医薬部外品の安全対策について、下記の措置を講じることが適当であると判断したので、貴管下のディートを含有する医薬品及び医薬部外品の製造販売業者(以下、「製造販売業者」)並びにこれらの製品を取り扱う薬局、販売業者、一般小売業者等に対して指導方ご配慮をお願いする。 記 1.販売業者は、以下の(1)又は(2)により、「使用上の注意」等を改訂すること。 なお、本通知に基づき改訂を行った添付文書等を、独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部医薬品安全課(以下、「医薬品安全課」)にすみやかに提出すること。 (1)一般用医薬品 (1)添付文書、外部の容器等に記載の<用法・用量に関連する注意>を、次の内容が含まれるよう改訂すること。 ○漫然な使用を避け、蚊、ブユ(ブヨ)等が多い戸外での使用等、必要な場合にのみ使用すること。 ○小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。 ・6カ月未満の乳児には使用しないこと。 ・6カ月以上2歳未満は、1日1回 ・2歳以上12歳未満は、1日1-3回 ○目に入ったり、飲んだり、なめたり、吸い込んだりすることがないようにし、塗布した手で目をこすらないこと。万一目に入った場合には、すぐに大量の水又はぬるま湯でよく洗い流すこと。また、具合が悪くなる等の症状が現れた場合には、直ちに、本剤にエタノールとディートが含まれていることを医師に告げて診療を受けること。 (2)製品、その包装及び添付文書に、承認書に記載のディート濃度を明記すること。 (2)医薬部外品 上記の1.(1)の一般用医薬品に準じて記載すること。 (3)その他 剤形等の違いによる添付文書、外部の容器等への記載内容に係る不明点は、医薬品安全課に相談すること。 2.造販売業者は、ディートを含有する製品の「使用上の注意」等が改訂された旨が消費者等に理解されるよう情報提供すること。また、ディートを含有する製品を取り扱う薬局、販売業者、一般小売業者等においては、消費者に対し、ディートを含有する製品の「使用上の注意」等が改訂された旨の情報提供に努めること。 この他、製造販売業者の副作用・安全性に関する国内外の研究報告等を「ディート定期報告書」として提出、また、製造販売業者はディートの神経系への影響に関する試験実施とその結果の報告等が通知されています。』 ■(注)一般用医薬品集(04-05)1123頁には、次のような品目が記載されています。 「イーメン虫よけ」:小池化学-大正製薬 組成:エアゾール(白):100mL中ディート6g、添加剤:ミリスチン酸イソプロピル、香料、適用:蚊、アブ、ブユ、ナンキンムシ、ノミ、サシバエ、トコジラミ(南京虫)、及びツツガムシの忌避、包装100mL 「ムシペールα」:池田模範堂 組成:噴霧液(無):ディート12%、包装60mL 「ムヒの虫よけムシペールα」:池田模範堂 組成:噴霧液(無):100mL中ディート12g、添加物:香料、包装60mL 「ムヒの虫よけムシペ−ルPS」:池田模範堂 組成:エアゾール剤(白):100mL中ディート12g、添加物:香料、包装200mL 引用資料 1)日本薬業新聞 第6948号3頁(平成17年8月30日) 2)厚生労働省医薬食品局安全対策課長「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」通知(平成17年8月24日): http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0824-1.html 3)一般薬 日本医薬品集 2004-05 (14版) 編集 (財)日本医薬情報センター
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■ コエンザイムQ10の1日の安全な摂取目安量について (2005年 09月 12日 22:59) 平成17年8月24日付けの薬事日報に次のようなコエンザイムQ10に関する記事が掲載されています。 「コエンザイムQ10については、健康被害との因果関係は不明であるが、これを含有する食品を摂取して、消化器症状を呈したとの健康被害報告が寄せられている。こうした点を踏まえ厚労省は日本健康・栄養食品協会(日健栄養協)に対し、2003年11月に注意喚起表示を含む食品規格基準の設定を検討するよう求めていた。日本健康・栄養食品協会は、データ収集するなどした結果、1日摂取目安量として300mgまで安全であるというデータを得たため、1日摂取目安量の上限値を300mg以下にしたいとの中間報告を同省に行った。厚労省はこれを踏まえ、食品安全委員会に食品健康影響評価を依頼した。今後は食品安全委員会が意見を聴いた後、関係業界などに評価結果を通知することになる。」 また、独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページの「健康食品の素材情報データベース「コエンザイムQ10」の欄(2005/8/26記事更新)」には次のような記載もみられます。 「経口摂取でコエンザイムQ10は一般的に高用量でも副作用のでにくい物質である。ヒト臨床研究では有意な副作用は認められていない。コエンザイムQ10は軽度の副作用を引き起こす可能性はある(胃の不調が0.39%、食欲不振が0.23%、吐き気が0.16%、下痢が0.12%の人で見られた。)1日当たり100mgを超える量を摂取する場合、2〜3回に分けて摂取することで副作用を最小限に抑えることができる。」 参考資料 1)「CoQ10の健康影響を評価 厚労省が食品安全委に依頼 日健栄養協「薬の10倍量で安全」」:薬事日報 平成17年8月24日より 2)独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページ:http://hfnet.nih.go.jp/main.php
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■ 薬物療法と概日リズム (2005年 08月 30日 14:52) 「薬局」2005年8月号の「海外ニュース」に、「概日時計」「概日リズム」に関する海外論文4報の要約が紹介されています。その要約の概要は次の通りです。 1)概日時計とヘム生合成の相互制御:Kaasik K and Lee CC:Nature,430,467-471(2005) 「哺乳類の概日時計は、ヘム生合成の律速酵素であるアミノレブリン酸合成酵素を制御している。一方、夜行性動物であるマウスの輪回し行動に及ぼすヘムの影響を検討したところ、主観的昼にヘムを投与しても影響が見られないのに対して、主観的夜にヘムを投与すると活動が制御された。野生型マウスの肝臓においてアミノレブリン酸合成酵素は、明白な日内リズムを刻んでおり、ヘムによってその発現は大きく制御された。概日時計とヘムの生合成は、相互に制御し合っていることが明らかになった。」 2)抗がん剤シクロフォスファミドの感受性は、概日時計の活性状態に依存する:Gorbachva VY et al:PNSA,150:1213-1220(2005) 「マウスを用いて抗がん剤シクロフォスファミドの投与時間依存的な致死毒性検討したところ、明かりが点灯する時刻に感受性が高く、明かりが消灯する時刻に感受性が低い概日リズムを示した。シクロフォスファミド毒性は血液細胞産生系に現れることから、血球系細胞の変化を観察したところ、シクロフォスファミド投与による細胞数の減少には差が見られなかったが、その後の細胞数の回復には有意な差が見られた。この毒性発現に見られるリズム性は、時計遺伝子発現の中心となるCLOCK/Bmall複合体の転写活性状態とよく相関していることから、シクロフォスファミド毒性発現には概日時計が関与しているのではないかと推察された。」 3)抗がん剤5−フルオロウラシル解毒酵素の概日リズムを知るバイオマーカー ;Jiang H et al: Br J Pharmacol,141:616-623(2004) 「ジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)は5-FUの律速的解毒酵素であり、この酵素を欠損している患者においては、とくに5-FUの有効治療域は狭いものとなっている。DPDはピリミジンからジヒドロピリミジンへ代謝することから、血中や尿中に生じるこれら代謝物量をモニターすることは、肝臓のDPD活性を推察する指標になると考えられた。 健常者の血漿中および尿中の濃度比(ジヒドロウラシル/ウラシル)は、明け方に低く午後から夜に高い、明白な概日リズムを示した。体液中の濃度比(ジヒドロウラシル/ウラシル)は、振幅が大きかった。5-FU投与時のがん患者において、血漿中の5-FU濃度およびジヒドロウラシル/ウラシル比を検討したところ、5-FU高用量では、ジヒドロウラシル/ウラシル比が大きく低下した。ラットにおいても、血漿中および尿中ジヒドロウラシル/ウラシル比ならびに肝および末梢血中におけるDPD活性には、いずれも活動期に低く休止期に高い明白な概日リズムが確認された。」 4)オレキシン神経は摂食同調性の概日時計を行動に反映する役割を示す:Mieda M et al:J Neurosci,24:10493-10501(2004) 「 摂食時間を1日のある時間に制限する制限給餌を行うと、哺乳類の概日リズムは摂食タイミングに同調を示す。このとき光同調性を示す視交叉上核の概日時計とは独立の、摂食同調性概日時計が働いていると考えられている。制限給餌下で観察される摂食予知行動(覚醒時間や行動量の増加)が、オレキシン神経を遮断したマウスでは極端に減少した。さらに野生型マウスでは、摂食予知行動が見られる際にオレキシン神経の活動が活発になっていた。オレキシン神経は、摂食同調性概日時計から覚醒や行動量を増大させるための遠心性刺激を運ぶ機能を有していると結論される。」
これらの報告からは、種々の生体内酵素が生体の概日時計・概日リズムと関係を持ち、薬効や薬物代謝が投与時間や食事習慣に影響される可能性が示唆されます。
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■ 経口薬による尿路感染症治療の現況 (2005年 08月 23日 10:03) Nikkei Medical 2005年6月号107-109に「尿路感染症 セフェムが無効の腸球菌は要注意」と題して、大野博司氏(洛和会音羽病院総合診療科)の論文が掲載されています。同氏はその中で、経口薬による尿路感染病治療の現況につき次のように述べています。 「経口薬で尿路感染症を治療する場合(特に膀胱炎)、ペニシリン系やセフェム系と、ニューキノロン系やST合剤とで治療効果には大差がないが、ペニシリン系やセフェム系では再発率が高いといわれている。そのため、尿路感染症の治療は禁忌がない限り、ニューキノロン系抗菌薬、ST合剤(日本では『他の抗菌薬が無効の場合』と適応が限られている)を用いる方がよい。好気性グラム陰性桿菌をカバーするためにはニューキノロン系、ST合剤を用いるが、腸球菌をカバーするためには内服ではアモキシシリンやアモキシシリン・クラブラン酸、靜注ではアンピシリン、アンピシリン・スルバクタム、バンコマイシンが適応となる。現在よく使われるセフェム系抗菌薬は腸球菌には無効であることも知っておく必要がある。ニューキノロン系抗菌薬に耐性を示す大腸菌を中心とした腸内細菌科の菌が増えており、高齢者の急性腎盂腎炎の治療に難渋するケースも見られるようになってきた。この背景には、本来、抗菌薬投与の適応のない急性上気道炎、急性ウイルス性腸炎などへのニューキノロン系抗菌薬の無思慮な使用が考えられ、安易な処方は厳に慎むべきである。」 引用 大野博司:「尿路感染症 セフェムが無効の腸球菌は要注意」;Nikkei Medical 2005年6月号 107-109頁より
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■ ニューキノロンによる結核偽陰性 (2005年 07月 28日 02:06) Nikkei Medical 2005年6月号103-106 に「呼吸器感染症 怖いニューキノロンによる結核偽陰性」と題して、岩田健太郎(亀田総合病院総合診療部感染症内科部長)の論文が掲載されています。岩田氏はその中で次のように述べています。 「(1)市中肺炎の主な原因は6つあり、これを『ビッグ6』と覚えておくとよい。@肺炎球菌、Aインフルエンザ桿菌、Bモラキセラ、Cマイコプラズマ、Dクラミジア、Eレジオネラ である。 (2)呼吸器感染症にはニューキノロン(レボフロキサシンなど)もよく用いられる。確かにレボフロキサシンは上記『ビッグ6』すべてに効くからグラム染色で菌を調べなくてもよい。便利なこと、この上ないが、好事魔多しである。先日、『市中肺炎』にレボフロキサシンが延々と用いられた患者を診た。結核であった。ニューキノロンには抗結核作用がある。しかし、キノロン単剤で結核が治療できるわけもなく、それは単に菌をある程度押さえ、ガフキーを偽陰性にし、診断を遅らせる。実際、この患者の喀痰を何度とってもガフキー陰性、結核PCR陰性で、結局、診断は気管支鏡で得られた。 (3)日本では、結核が多い。年間新規発症患者が人口10万人当たり24人弱と、先進国では最悪のレベルである。そして、結核はよく見逃されている。市中肺炎をニューキノロンで治療してもよいが、必ず結核を除外してからにすべきである。」 引用 岩田健太郎:「呼吸器感染症 怖いニューキノロンによる結核偽陰性」;Nikkei Medical 2005年6月号103-106頁より
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■ 糖尿病予防対策における厚生労働省の5カ年計画 (2005年 07月 22日 14:19) 平成17年6月20日の朝日新聞に「ストップ・ザ・糖尿病 9000人調査 厚労省5年計画 IT活用」という見出しで、厚労省の糖尿病予防対策が次のように紹介されています。 「生活習慣の変化や高齢化で糖尿病患者が増えていることから、厚生労働省は予防対策などを強化するため、9100人を対象にした大規模な研究に乗り出す。発症者の半減など目標値を掲げ、IT(情報技術)を使った生活習慣の管理などに取り組み、どれだけ効果があるかを探る。研究期間は5年間。」 その研究の概要については、厚労省のホームページ「厚生労働省:戦略研究の創設にかかる検討状況(報告)http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0318-8h.html に掲載されています。以下のとおりです。 糖尿病予防対策研究〔Japan Diabetes Outcome Intervention Trial : J-DOIT〕 ■研究課題名:J-DOIT 1 アウトカム(成果目標):耐糖能異常から糖尿病型への移行率が半減する介入方法の研究 研究方法:「対象」;地域・職域検診の要指導者で30-64歳の耐糖能異常4500名。全国で20グループを編成。対面型個別指導群、非対面型(IT活用)個別指導群、集団指導(対照)群に無作為割付。「介入方法、精度管理、収集データ」;対面またはIT活用等による生活習慣(食事・身体活動中心)介入プロトコールを定めて実施。医学的検査は登録時、最初の6ヶ月間は月1回、それ以降は3ヶ月毎に実施。「分析方法、その他」;登録者全員を解析対象とする。「その他必要事項」;サンプルサイズの縮小、研究グループ単位で審査、予算規模 ■研究課題名:J-DOIT 2 アウトカム(成果目標):糖尿病患者の治療の中断率が半減する介入方法の研究 研究方法:「対象」;都市部(人口10-20万程度)に在住し、かかりつけ医で治療するU型糖尿病患者。糖尿病診療達成目標を地区医師会全体で共有し、目標達成のための支援としての『患者指導コメディカル派遣・IT診療支援群』『対照群』に割付。「介入方法、精度管理、収集データ」;初年度は数地区でパイロット研究を行い、本試験の手法および実施可能性等について検討する(約1600人)。医学的検査・治療の実施率は、登録時、約3ヶ月ごとに測定。「分析方法、その他」;登録全地域・患者全員を解析対象とする。「その他必要事項」;パイロットスタディ、糖尿病診療達成目標(共通)の作成、患者指導コメディカルの訓練・派遣方法整備、IT診療支援システム開発・実証試験 ■研究課題名:J-DOIT 3 アウトカム(成果目標):糖尿病合併症の進展を30%抑制する介入方法の研究 研究方法:「対象」;HbA1c≧7.0%U型糖尿病で、収縮期血圧≧140または拡張期≧90mmHgかつ脂質代謝異常のある40-69歳の3000名。強化治療群、通常治療群に無作為割付。「介入方法、精度管理、収集データ」;生活習慣(減量、食事、運動、禁煙)、血圧、脂質、血糖への介入方法を定めて実施。医学的検査は登録時、定期的来院時、1年ごと。「分析方法、その他」;登録者全員を解析対象。「その他必要事項」;中央検査項目の選定、モニタリングネット整備、中断者の要因・動態分析 参考資料 朝日新聞「ストップ・ザ・糖尿病 9000人調査 厚労省5年計画」: 平成17年6月20日 厚生労働省ホームページ:「戦略研究の創設にかかる検討状況」 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0318-8h.html
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■ プロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクス (2005年 07月 15日 11:57) 藤山佳秀らは、薬事日報第10088号(平成17年7月4日)にプロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスという用語について、 「プロバイオティクスという語句は、1965年Lillyらにより初めて用いられたものであり、ギリシャ語の「生命の益になるもの=for life」を語源にしている。Fullerは「腸内細菌叢を変化させることにより生態に有益な効果をもたらす生きた微生物」と定義している。乳酸菌、ビフィズス菌などがある。プレバイオティクスは、プロバイオティクスとなる生菌の発育を促し、間接的に宿主に有益な作用をもたらすことを特徴としている。食物繊維やオリゴ糖などがこれにあたる。これらは、単独でも血清脂質や血糖の低下作用を有しているが、さらにプロバイオティクスとなる生菌の発育を促すことによりプロバイオティクスの作用をあわせもっている。 プレバイオティクスとプロバイオティクスを同時に用いることは、シンバイオティクス(Synbiotics)とよばれている。両者を同時に用いることにより、プロバイオティクス単独よりも、より増強した作用が得られるものと注目される」と解説しています。 平成17年7月6日付けの薬局新聞には「わかもと製薬研究報告:キシリトールとクランベリーが乳酸菌WB21増強」という見出しで、乳酸菌WB21は口腔内病原菌増殖抑制作用を示すが、キシリトールとクランベリーの併用により乳酸菌WB21の口腔内病原菌増殖抑制作用がより増強されたことが明らかになった、と報告されています。これもシンバイオティクスといえるかもしれません。 引用 藤山 佳秀、佐々木雅也:薬事日報 第10088号21頁 平成17年7月4日より 薬局新聞 平成17年7月6日号10頁
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■ 抗うつ薬をMHPG値で使い分け (2005年 07月 05日 11:59) 平成17年6月24日付けの薬事日報に、中村純氏が第129回日本医学会シンポジュウムで「血中MHPG(3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール)値が、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の使い分けに有用であることが示された」と報告した、と報道されています。 中村純氏はまた、「うつ病の基礎知識」:産業保健21 No.39,4-8,2005において、抗うつ薬の使い分けについて次のように解説されています。 「われわれがノルアドレナリンの代謝産物である血漿中のMHPGを指標にSSRI(フルボキサミンとパロキセチン)とSNRI(ミルナシプラン)の作用を検討した結果、両SSRI(フルボキサミンとパロキセチン)ともに正常者よりも高いMHPG値を示した人に効果を有し、SNRIは正常者よりも低いMHPG値を示した人に効果を示した。つまりSSRIやSNRIに効果を示した人は、治療によって抑うつ状態が改善してくると正常者のMHPG値の範囲になることが示唆された。しかも臨床的には不安・焦燥が強い人は高いMHPG値を呈し、抑制が強い人はMHPG値が正常よりも低いことが明らかになった。したがって、臨床では不安や焦燥が強い人にSSRIを投与すると効果を示し、抑制、意欲低下が著しい人にSNRIを投与すると効果を示すことが明らかになった。」と述べています。 三菱化学ピーシーエルのホームページに、内分泌学検査として血漿中MHPG(3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルエチレングリコール)の記載が見られます。 保険点数:未採用、 検査方法:HPLC、 基準値:7-20、 臨床的意義:主として中枢神経に由来するカテコールアミンの代謝産物。統合失調症、神経性食指不振等で高値、うつ状態で低値。 高値を示す病態:躁うつ病(躁状態)、統合失調症、神経性食思不振症 低値を示す病態:パーキンソン病、アルツハイマー病 などが記載されています。 参考文献 薬事日報:平成17年6月24日 中村 純「うつ病の基礎知識」:産業保健21;No.39,4-10,2005-1 http://www.rofuku.go.jp/sanpo/sanpo21/pdf/39.pdf 三菱化学ピーシーエル:ホームページ http://www.mbcl.co.jp/compendium/
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■ 高齢者のテストステロン低下症候(PADAM)と血中遊離テストステロン値 (2005年 06月 28日 10:23) 帝京大学医学部泌尿器科の丸山修先生らは「男性更年期問題」Geriat.Med.43(2):191,2005において次のように解説されています。 「欧米では、加齢に伴いテストステロン値が低下することによる症候をPADAM(partial androgen deficiency in aging male)あるいはLate onset androgen deficiency in aging male と呼び、テストステロン補充により治療可能な1つの疾患概念として認識されてきている。米国のコホート研究である Rancho Bernardo Study では、60歳以上の健康な男性の半数において血液中のテストステロンレベルが、性腺機能低下症の基準値である350ng/dLよりかなり低い288ng/dL 以下であったと報告している。」さらに、同先生は「40-60歳代では、加齢の自覚、職位の変化や職場環境の変化などから、心身の変調をきたしやすい。この「男性更年期」世代での精神・心理、身体、性機能についての多彩な愁訴を訴える患者で、これらの愁訴が男性ホルモン補充で軽快することがあること、また、これらの患者の多くはテストステロンレベルが基準値以下であることから、テストステロン治療がここ数年盛んになっている。この「男性更年期」患者ではQOLが著しく損なわれていることを特徴とするが、ADLは低下していない。一方、高齢者でのテストステロン低下者では、一般に本人からの訴えは少なく、QOLの低下は小さいが認知機能の低下や筋力の低下、骨粗鬆症などのためにADLが低下していく。」と述べています。 そして、加齢男性でのテストステロン減少症であるPADAMでは、ホルモン補充療法の効果についてはまだ報告が少ないか、あるいは意見の一致を見ていない、としています。 聖マリアンナ医科大学泌尿器科の岩本晃明先生らは「加齢によるAndrogen減退の実態」Geriat.Med.43(2)183,2005において「日本人の年齢階層別平均値の推移をみたとき、総テストステロン値は男子更年期障害を頻発する初老期から老年期にかけてもYAM値の80%までしか減少しないのに対し、遊離テストステロン値は加齢とともに直線的に減少し、YAM値の50%までに低下することである」としています。 関西医科大学泌尿器科の松田公志先生らは「男性更年期障害に対するAndrogen療法の意義」;Geriatric Medicine 43(2)251,2005において、男性更年期障害に対して男性ホルモン補充療法(ART)を行った患者に対する有効性と遊離テストステロン値の関係を検討し、「治療前遊離男性ホルモン低値群(RIA法で測定した遊離テストステロン値が8.8ng/mL未満)では有効率62.7%と、ホルモン正常群(RIA法で測定した遊離テストステロン値が8.8ng/mL以上)41.2%に比べて有意に高率であった(p<0.05)。 しかし、軽症のうつ病など、多様な集団である男性更年期外来受診患者の中から、加齢による男性ホルモンの低下によって症状が生じた男性更年期障害を診断するのは必ずしも容易ではない。このような症例に対しては、短期間の男性ホルモン補充療法(ART)を実施して、その有効性の有無から診断を確定する診断的治療を提案したい。」としています。 参考資料 丸山修、堀江重郎:「男性更年期問題」;Geriatric Medicine 43(2)191,2005 岩本晃明、馬場克幸、中澤龍斗:「加齢によるAndrogen減退の実態」;Geriatric Medicine 43(2)183,2005 松田公志、河 源、巽一啓、六車光英、木下秀文:「男性更年期障害に対するAndrogen療法の意義」;Geriatric Medicine 43(2)251,2005
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■ アルコール性膵疾患の薬物治療 (2005年 06月 21日 09:45) 独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター 丸山勝也先生は、pharmavision 9(5)2,May 2005に「アルコール依存症の合併症(臓器疾患)」の中で、アルコール性膵疾患について次のように解説しておられます。 『わが国における慢性膵炎のうち飲酒に起因すると思われるものは約55%と最も多く、特に男性では約67%と高率である。また急性膵炎でも約40%がアルコール性であるとされているように、アルコールと膵障害の間には強い因果関係が示されている。わが国における唯一のアルコール症の基幹施設である、国立療養所久里浜病院(現在の独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター)におけるアルコール依存症を対象とした調査では、明らかな膵炎の症状を伴わずに入院時の血清膵酵素異常率はアミラーゼ:10%、エラスターゼ-1:42%、リパーゼ:29%、膵分泌性トリプシンインヒビター:16%であり、これらのいずれかが異常であった例は54%と高率であった。また慢性膵炎の確定診断項目の1つである膵石合併慢性膵炎の頻度も6%に認められた。さらに剖検例では臨床的に膵炎の診断が下されていない症例のほとんどに膵腺房細胞の萎縮と腺房構造の乱れ、脂肪変性、結合組織増加が観察されたことより、アルコールの慢性多飲者では無症状でも高率に膵の障害が生じているものと推測された。 治療は断酒が基本で、その他の治療としては禁食および食事療法、輸液・電解質の補正、膵酵素阻害剤<アプロチニン(トラジロール)やメシル酸ガベキセート(エフオーワイ)やメシル酸ナファモスタット(フサン)などの点滴、メシル酸カモスタット(フオイパン)の内服など>・消化酵素(パンクレアチン、ベリチームなど)・鎮痛剤・鎮痙剤(コスパノン)の投与を行う。』 Nikkei Medical No.450,35,2005 には、「アルコール性慢性膵炎 去痰薬で自覚症状など改善」として、第91回日本消化器学会総会で発表された八尾総合病院消化器センター内科の辻本達寛先生の発表が次のように紹介されています。 『アルコール性慢性膵炎では、膵臓の腺房細胞から蛋白質が過剰分泌され、急性増悪を繰り返すと考えられている。ブロムヘキシンは、この腺房細胞に親和性を持ち、ムコ多糖の産生を抑えて、粘性の低い膵液を分泌させる働きがある。このため、辻本氏は、慢性膵炎の症状も抑える可能性を考え、研究を行った。対象は2000年1月から2003年12月までの4年間、なかなか禁酒できずにアルコール性慢性膵炎の急性症状を繰り返した24人(男性21人、女性3人、平均年齢61.2歳)。H2ブロッカーやカモスタットなどの膵炎治療薬を投与する通常治療群と、通常治療に加えてブロムヘキシンを通常量投与する群に分け、6か月後に自覚症状や検査値の変化を検討。腹部痛や背部痛などの自覚症状は、通常治療群では消失1人(8%)、変化なし7人(58%)、増悪4人(33%)だったのに対し、ブロモヘキシン群では消失8人(67%)、改善傾向3人(25%)、変化なし(8%)と、著明な改善傾向を示した。検査値は、ブロムヘキシン群のみ、アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなどの膵酵素が有意に改善した。画像所見では、両群とも膵石の消失は認めなかったが、膵石の増加傾向はブロムヘキシン群では通常治療群に比べて少なく、1人は蛋白栓の消失が認められた。』 (注)ブロムヘキシンは、一般名:塩酸ブロモヘキシン、商品名:ビソルボンほか 適応症:下記疾患の去痰 急性気管支炎、慢性気管支炎、肺結核、塵肺症、手術後 参考文献 丸山勝也:「アルコール依存症の合併症(臓器疾患);pharmavision9(5)2, May 2005 「アルコール性慢性膵炎 去痰薬で自覚症状など改善」;Nikkei Medical No.450,35,2005
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