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■ 新型インフルエンザに関するQ&A−後半(厚生労働省ホームページより) (2006年 01月 25日 00:23) ******************************************************************************** 厚生労働省は、平成17年10月に、新型インフルエンザ対策推進本部を設置し、その対策のための行動計画を策定した。また、国民が新型インフルエンザについて正確に理解し、その予防など冷静に対応できるよう「新型インフルエンザに関するQ&A」を作成し、今後も新型インフルエンザに関して、正確かつ迅速な情報提供に努めるとしています。 ******************************************************************************** 「新型インフルエンザに関するQ&A」は平成17年11月15日に作成され、その後、同年11月30日と12月15日に改訂が行われています。詳しくは、厚生労働省ホームページ(URL;http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html)を参照ください。ここでは、同年12月15日改訂のものを2回に分けて転載いたしました。 (この記載は、後半分です。)
■V.国民ひとりひとりの予防と対応
V−1Q.通常のインフルエンザの予防接種(ワクチン接種)は、新型インフルエンザに効果がありますか。 A.新型インフルエンザのヒト−ヒト感染が起きた場合、予防手段として直ちに使用できるワクチンは現時点ではありませんが、新型インフルエンザのウイルスに対して効果を発揮するワクチンの早期実用化に向けた開発努力が、日本を含め世界の各国で展開されています。
V−2Q.新型インフルエンザの予防はどうしたらよいのですか。 A.通常のインフルエンザは、感染した人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫とともに放出されたウイルスを吸入することによって感染します。そのため、外出後のうがいや手洗い、マスクの着用、流行地への渡航、人混みや繁華街への外出を控えることが重要です。また、十分に休養をとり、体力や抵抗力を高め、日頃からバランスよく栄養をとることも大切です。現状では新型インフルエンザは出現していませんが、出現した場合も通常のインフルエンザと同様に感染防御に努めることが重要です。
V−3Q.新型インフルエンザに感染した場合、どのような症状がでるのですか。 A.新型インフルエンザに変異することが懸念されている高病原性鳥インフルエンザの症状としては、これまで東南アジアなどでの事例では、発熱、咳など、ヒトの一般的なインフルエンザと同様の症状に加え、60%以上の感染者に下痢が認められました。また、結膜炎、呼吸器症状や、多臓器不全に至る重症なものまで様々な症状がみられ、死亡の主な原因は肺炎でした。 しかし、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザウイルスに変異した場合、その症状の程度は、現在のところ予測することが困難です。
V−4Q.新型インフルエンザにかかったかどうか、どうしたらわかりますか。 A.現在、新型インフルエンザは発生しておらず、その臨床症状については予測することが困難です。将来的に、新型インフルエンザが出現した場合、特定の症状がある場合には、医療機関を受診し、専門的な検査を受けることとなります。厚生労働省では、その検査法について、研究開発を進めています。
V−5Q.新型インフルエンザの治療法はあるのですか。 A.インフルエンザの治療に使われている抗インフルエンザウイルス薬が有効であると考えられており、今回の行動計画では、2500万人分の抗インフルエンザウイルス薬を備蓄することとしました。抗インフルエンザウイルス薬については、本Q&Aの第W章で詳細に扱っております。また、V−1にあるようにワクチンも開発中です。治療薬、治療方法について、最新の知見が発表され次第、情報提供し、国がとるべきしかるべき対応策について公表してまいります。
■W.リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)について
W−1Q.タミフルの効能・効果、用法・用量について教えてください。 A.タミフル(有効成分:リン酸オセルタミビル)は、A型又はB型インフルエンザの治療及びその予防のために使用される医薬品であり、カプセルタイプとドライシロップタイプがあります。その効能・効果、用法・用量は、次のとおりです。
<<タミフルカプセル75>> <効能・効果> A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防 <用法・用量> 1.治療に用いる場合 通常、成人及び体重37.5kg以上の小児は1回1カプセルを1日2回、5日間服用する。 2.予防に用いる場合 通常、成人及び13歳以上の小児は1回1カプセルを1日1回、7〜10日間服用する。
<<タミフルドライシロップ3%>> <効能・効果> A型又はB型インフルエンザウイルス感染症 <用法・用量> 通常、成人は1回75mgを1日2回、5日間服用する。 通常、幼小児は1回2mg/kg(体重1kgあたり2mg)を1日2回、5日間服用する。 タミフルは医師の処方せんによって投薬されることが薬事法によって義務付けられており、医師の処方せんなしに薬局等において購入することはできません。
W−2Q.タミフルは、どのような時に服用するのですか。 A.タミフルは、医療機関で診察を受け、医師がタミフルの必要性を十分検討した上で、患者に処方するものです。インフルエンザに感染したすべての患者がタミフルを服用する必要はないと考えられます。 健康な成人の方では、一般的に、インフルエンザウイルスに感染し、症状が出てから3〜7日間でウイルスの排出も終わると言われています。 また、タミフルは、インフルエンザの症状が出てから2日(48時間)以内に服用を開始することとされています(症状が出てから48時間経過した後に服用を始めた場合には、その有効性を裏付けるデータはありません)。 なお、65歳以上の高齢者や慢性呼吸器疾患の患者など、インフルエンザにかかった場合に重症化しやすい方々については、同居する方がインフルエンザにかかったときに、その予防のために、医療機関で診察を受け、タミフルが処方されることがあります。一般的な予防投与は認められていません。 予防のために服用する場合には、インフルエンザに感染した患者に接触した後2日(48時間)以内に服用を開始することとされています(接触してから48時間経過した後に服用を始めた場合にも、その有効性を裏付けるデータはありません)。
W−3Q.1歳未満の子どもや妊婦、授乳婦がタミフルを使用するときの注意を教えてください。 A. ○ 1歳未満の子どもについて 1歳未満の子どもについては、安全性及び有効性が十分確認されていないので、医師がタミフルの必要性を慎重に検討し、かつ、その保護者の方々に、服用方法、注意を要する副作用等を丁寧に説明し、同意を得た上で、使用することとされています。 ○ 妊婦の方等について 妊婦又は妊娠している可能性のある方については、医師がタミフルの必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が胎児への影響等の危険性を上回ると判断する場合にのみ使用することとされています。 ○ 授乳婦の方について 授乳をしている方については、タミフルを飲んだときは授乳を避けてください。
W−4Q.タミフルを飲んではいけない場合や、特に注意することが必要な場合を教えてください。 A. ○ タミフルに過敏症がある方についてこれまで、タミフルを服用した後に、発疹やショックなどの過敏症の症状が出たことがある方はタミフルを服用してはいけません。 ○ 腎機能に障害がある方について 腎機能に障害がある方は、血液中のタミフル濃度が高くなることから、その服用方法が一般の方と異なることがあるので、医師の指示を厳格に守って服用してください。 ○ 遺伝性果糖不耐症の方について 遺伝性果糖不耐症の方は、タミフルドライシロップ3%には果糖の前駆物質(体内で果糖に変換される物質)添加されているので、服用する場合には医師の指示を厳格に守ってください。
W−5Q.タミフルの副作用について教えてください。 A.タミフルを服用したときは、腹痛、下痢、嘔気などがあらわれることがあります。 また、まれに、タミフルの服用により、重い副作用を起こすことがあります。 具体的には、ショック、アナフィラキシー様症状*1、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)*2、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)*3、精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄(せんもう)(意識がもうろうとした状態)、幻覚、妄想、痙攣(けいれん)等)などがあらわれることがありますので、これらの症状があらわれた場合は、直ちに医療機関に受診してください。 *1 ショック、アナフィラキシー様症状:重症の過敏症であり、初期症状として顔面や上半身の紅潮・熱感、皮膚が痒い、唇や舌・手足がしびれるなどの症状をきたし、進行すると血圧低下、呼吸困難、痙攣などから意識消失、呼吸停止に至ることがあります。 *2 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):重症の皮膚障害であり、初期症状として発熱、関節が痛い、皮膚がまだらに赤くなる、水ぶくれができるなどの症状をきたし、進行すると、眼、鼻、口、外陰部などに充血、びらんが起きることがあります。 *3 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):極めて重症の皮膚障害であり、初期症状として発熱、発疹、皮膚が焼けるように熱く感じる、水ぶくれができるなどの症状をきたし、進行すると、急速に全身の皮膚が傷害され、発赤、水ぶくれ、びらんが広がる、皮膚がむけやすくなり、重症のやけどのようになる、口や目の粘膜にもびらんが起きることがあり、時には意識障害や呼吸困難に陥ることもあります。
W−6Q.タミフルを服用した後の異常行動等による小児の死亡例が報道されていますが、厚生労働省としては、タミフルの安全性についてはどのように考えているのですか。 A.タミフルを服用した16歳以下の異常行動によるものを含む小児13例(治験時1例を含む。)の死亡が報告されています。これら小児の死亡事例とタミフルとの関係については、本年11月18日に米国食品医薬品局(FDA)が評価を依頼した小児諮問委員会においても、「現時点で得られている事実からは、因果関係を示す証拠はないと考えられる」と評価されています。 厚生労働省としては、専門家の意見も聞いたところ、タミフルと死亡との関係については否定的であることなどから、現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていません。 医師の指示に従って適切に服用するとともに、副作用の症状があらわれたときは、医師、薬剤師に相談してください。
W−7Q.タミフルを服用した後の成人の死亡例も報告されているようですが、厚生労働省としては、タミフルの安全性についてどのように考えているのですか。 A.タミフルを服用した成人(17歳以上)の死亡が報告されていますが、専門家の意見も聞いたところ、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)*1及び腎不全*2による死亡2例については因果関係を否定できないものの、それ以外の24例についてはタミフルと死亡との因果関係は否定的であるとされています*3。 タミフルの服用に伴い中毒性皮膚壊死症及び腎不全がごくまれにあらわれることについては、添付文書の使用上の注意にそれぞれ平成14年10月及び平成15年7月に記載し、注意を喚起しているところです。 したがって、厚生労働省としては、現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていません。 医師の指示に従って適切に服用するとともに、副作用の症状があらわれたときは、医師、薬剤師に相談して下さい。 *1 中毒性表皮壊死症は、一般用医薬品を含めた多くの医薬品においてごくまれにあらわれる副作用として報告されています。医薬品・医療機器等安全性情報No.218 (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/10/h1027-1.html)の「2.医薬品による重篤な皮膚障害について」を御参照下さい。 *2 タミフルと腎不全との因果関係が否定できない事例が、これまでに10例(死亡例は本例のみ)報告されています。 *3 タミフル発売(平成13年2月)後に厚生労働省に報告された事例については上記のとおりですが、これとは別に、タミフルの製造販売業者は、そもそもタミフルとの因果関係がないものとして死亡8例を把握していると聞いています。
(参考:タミフルの有用性について) (1)医薬品は、人体にとって本来異物であり、何らかの副作用が生ずることは避け難いものです。このため、治療上の効能・効果と副作用の両者を考慮した上で、医薬品の有用性が評価されるものです。 (2)タミフルについては、 ○ WHOや欧米においても、インフルエンザに有効な医薬品は実質的にタミフルしかなく、新型インフルエンザ対策の重要な柱として位置づけられており、 ○ タミフルとの因果関係を否定できない死亡例が上記のとり報告されていますが、ごく限られたものです。 (注)昨年冬のインフルエンザ・シーズンにおけるタミフルの国内供給量は約860万人分。 (3)したがって、タミフルは医薬品として高い有用性が認められるものであり、通常のインフルエンザ及び新型インフルエンザ対策の上で、必須の医薬品と考えられています。
W−8Q.タミフルをインターネット等で個人輸入して、使用してもかまわないのでしょうか。 A.タミフルは、医療機関を受診し、医師の指示に従って服用する医薬品です。 タミフルを個人輸入して、自己判断で使用することにより、健康被害が引き起こされる可能性もありますから、安易に個人輸入して使用することは控えて下さい。
〔参考〕 1.タミフルの添付文書は、医療用医薬品の添付文書情報(検索ページ) (http://www.info.pmda.go.jp/psearch/html/menu_tenpu_base.html)の「一般名・販売名」に「タミフル」と入力し、[検索実行]ボタンをクリックすることにより入手できます。 2.タミフルの「くすりのしおり」(医師や薬剤師などの医療提供者から患者さんに、その「くすり」の概要を説明する際の補助資料です。)は、くすりの適正使用協議会のウェブサイト(http://www.rad-ar.or.jp/siori/kensaku.html)で、検索・入手できます。 3.タミフルのインタビューフォーム(医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等が集約された総合的な医薬品解説書です。日本病院薬剤師会が記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼しているものです。)は中外製薬株式会社ウェブサイトの「医療関係者向け情報」(http://www.chugai-pharm.co.jp/hc/di)で、検索・入手できます。 4.「インフルエンザ脳症ガイドライン」(厚生労働省 新興・再興感染症「インフルエンザ脳症の発症因子の解明と治療及び予防方法の確立に関する研究」班作成)は、 http://www.okayama-u.ac.jp/user/med/ped/pedhome.html で入手できます。
■X.問い合わせ先
X−1Q.新型インフルエンザについて、わからないことはどこに問い合わせればよいのですか。 A.新型インフルエンザ等に関する情報は、厚生労働省のホームページを随時更新する予定です。なお、ご不明な点につきましては、厚生労働省健康局結核感染症課(電話03−5253−1111)にお問い合わせ下さい。
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■ 新型インフルエンザに関するQ&A−前半(厚生労働省ホームページより) (2006年 01月 17日 23:56)
******************************************************************************** 厚生労働省は、平成17年10月に、新型インフルエンザ対策推進本部を設置し、その対策のための行動計画を策定した。また、国民が新型インフルエンザについて正確に理解し、その予防など冷静に対応できるよう「新型インフルエンザに関するQ&A」を作成し、今後も新型インフルエンザに関して、正確かつ迅速な情報提供に努めるとしています。 ******************************************************************************** 「新型インフルエンザに関するQ&A」は平成17年11月15日に作成され、その後、同年11月30日と12月15日に改訂が行われています。ここでは、同年12月15日改訂のものを2回に分けて転載いたします。詳しくは、厚生労働省ホームページ(URL;http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html)を参照ください。(なお、添付されている図表は省略いたしました)
■ T.新型インフルエンザの流行
T−1Q.新型インフルエンザとは何ですか。 A.インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによっておこる病気です。 ヒトだけでなく、他の動物もインフルエンザウイルスに感染します。通常、インフルエンザウイルスは、例えばヒトからヒトへといった同種の間で感染するものです。 しかし、インフルエンザウイルスの性質が変わる(変異する)ことによって、これまでに、ヒトに感染しなかったインフルエンザウイルスが、ヒトへ感染するようになり、そしてさらにはヒトからヒトへ感染するようになります。この変異したインフルエンザウイルスのことを新型インフルエンザウイルスといい、そのウイルスによって起こるインフルエンザを新型インフルエンザといいます。
T−2Q.これまでに新型インフルエンザの流行はありましたか。 A.新型インフルエンザとして、大正7年(1918年)に「スペインインフルエンザ」、昭和32年(1957年)に「アジアインフルエンザ」、昭和43年(1968年)に「香港インフルエンザ」、昭和52年(1977年)に「ソ連インフルエンザ」が流行しています。これらはいずれも世界的に流行し、多くの死亡者(たとえば、「スペインインフルエンザ」において、世界では約4,000万人、わが国では約39万人が死亡)を出しました。新型インフルエンザは、10年から40年の周期で流行するといわれています。 しかし、新型インフルエンザウイルスがいつ出現するのか、予測することはできません。
(注:これまで一般に、スペインかぜ、アジアかぜ、香港かぜ、ソ連かぜと表記してきたものについては、本資料では、それぞれ、スペインインフルエンザ、アジアインフルエンザ、香港インフルエンザ、ソ連インフルエンザと表記しています。)
T−3Q.なぜ、新型インフルエンザの世界的流行(パンデミック)の可能性が指摘されているのですか。 A.T−1に記載があるようにインフルエンザウイルスが変異し、新たにヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの世界的流行の可能性が示唆されています。新型インフルエンザがもし発生した場合、基本的にすべての人々は、そのウイルスに対して抵抗力(免疫)をもたないため、新型インフルエンザはヒトの間で、広範にかつ急速に広がると考えられます。さらに、人口の増加や都市への人口集中、飛行機などの高速大量交通機関の発達などから、短時間に地球全体にまん延すると考えられます。この世界的流行をパンデミックといいます。 ただし、新型インフルエンザウイルスがどのくらい強い感染力をもつのかについては、現段階ではわかりません。
T−4Q.新型インフルエンザの世界的な流行(パンデミック)を阻止することはできないのですか。 A.パンデミックを阻止することは世界的にも非常に困難であると考えられていますが、最近の研究では、新型インフルエンザの発生の初期で、その範囲が限られている場合においては、抗インフルエンザウイルス薬の内服と移動制限を行うことで、流行の拡大を遅らせ、次の対策を講じることができることになります。しかし、これまで世界中で経験がないことなので、どの程度成功するかは未知数です。初めて発生する地域で、その発生をいかに早期に発見し、適切な対策をとることが大切です。 我が国の対策については、「新型インフルエンザ対策行動計画」に示されています。
T−5Q.新型インフルエンザが全国的に流行した場合に、どのくらいの人が感染すると予測されるのですか。 A.米国疾病管理センターの計算式に日本をあてはめると、新型インフルエンザが全国的に流行した場合、約1/4の人が感染すると予想され、また、医療機関を受診する患者数は最大で2500万人と推定されています。
T−6Q.国は新型インフルエンザの流行に対してどのような準備をしているのですか。また、流行した場合、どのような対策をとるのですか。 A.厚生労働省では、平成17年10月、国民への正確な情報の提供、予防や治療など、その流行状況に応じた対策を総合的に推進するため、厚生労働大臣を本部長とする「新型インフルエンザ対策推進本部」を設置しました。同時に、厚生労働省では、「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定し、新型インフルエンザの発生状況に合わせた具体的な対策を講じることとしています。
■ U.鳥インフルエンザと新型インフルエンザ
U−1Q.鳥インフルエンザ、高病原性鳥インフルエンザとはどのような病気ですか。 A.インフルエンザウイルスは、自然界においてカモ、アヒルなどの水鳥を中心とした多くの鳥類に感染します。それを鳥インフルエンザといいます。また、鳥インフルエンザのなかでも、ニワトリ、カモなどが死亡してしまう重篤な症状をきたすものを高病原性鳥インフルエンザといいます。その原因となるウイルスは高病原性鳥インフルエンザウイルスといわれています。鳥インフルエンザおよび高病原性鳥インフルエンザについては国立感染症研究所情報センターホームページ(URL;http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)を参照ください。
U−2Q.鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)ウイルスがヒトに感染した例はありますか。 A.鳥インフルエンザウイルスは、通常ヒトに感染することはありませんが、近年、図1のように(図は略)、ヒトにおける高病原性鳥インフルエンザ発症事例が報告されています。これまで、タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアを中心に、132人が発症、68人の死亡者がでています(2005年11月25日現在)。
U−3Q.鶏肉や鶏卵を食べて、鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)に感染することはありますか。 A.鳥インフルエンザについては、これまで、鶏肉や鶏卵を食べることによって、ヒトに感染したという事例の報告はありません。このため、食品衛生の観点からは、鶏卵や鶏肉について特段の措置は必要ないものと考えられます。 なお、鶏卵を「生(なま)」で食べることが健康を損なうおそれがあるとの報告はこれまでありませんが、不安の方は、加熱(WHOの食中毒防止のための加熱条件:中心部70℃、瞬間)することをお勧めします。鶏肉は十分加熱して食べてください。未加熱又は加熱不十分なままで食べることは、食中毒予防の観点からお勧めできません。 また、食品安全委員会も、平成16年3月に、鶏肉や鶏卵は「安全」とする見解を示しています。詳細は、食品安全委員会ホームページをご参照ください。
U−4Q.鳥インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザ)と新型インフルエンザとはどのような関連があるのですか。 A.鳥インフルエンザウイルスが新型インフルエンザになるには、2つの仕組みがあります。 ひとつの仕組みは、鳥インフルエンザウイルスがヒトや鳥類の体内で変異し、ヒトからヒトへ感染するウイルス(新型インフルエンザウイルス)になることです。もうひとつの仕組みは、ヒトやブタに、ヒトのインフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスが同時に感染し、それぞれが混ざり合い、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザウイルスになることです。
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■ 外的衝撃で起こる心室細動 心臓震盪 (2005年 12月 13日 11:35) ******************************************************************************** 胸にボールなどが当たった結果、心室細動が出現するのが、心臓震盪と呼ばれる病態。心臓に異常が認められない健康優良児であっても、突然死をきたすことがある。胸骨や肋骨が比較的柔らかい小学生から高校生までに多く、わが国では、1997年から2004年までの間に心臓震盪で13人が死亡したことが明らかになっている。1) ******************************************************************************** 平成17年2月から5月にかけて北国新聞の「医師の目 人の眼 ハートが大切」を執筆された東京都済生会中央病院副院長三田村秀雄先生は、その記事の中で「胸に受けた球で突然死」を紹介している(北国新聞平成17年2月28日)2)。 朝日新聞(平成17年7月17日)3)には、「昨年8月、徳島と福島で、投球と打球をそれぞれ胸に当て選手が亡くなる事故があった。いずれも、胸への衝撃によって心臓の筋肉がけいれんする心室細動が起き、致死的な状況に陥る「心臓震盪」が原因と見られている。今年2月には、仙台地裁で、キャッチボールで誤って他人の胸に球を当て、心臓震盪を引き起こした小学生2人の両親に約6070万円の損害賠償を命じる判決を下し、社会問題としても認知され始めた。この様な高校球児の死亡事故が続いたのをきっかけに、日本高野連が第87回全国高校野球大会(平成17年8月)に向けて、心臓による突然死の対策として、自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillation)の導入を決定した。」と報道されている。 石川県教育委員会は金沢市を除く公立の全小中高校を対象に、心臓に電気ショックを与える「自動体外式除細動器」(AED)の講習会を開き、教員の救急救命力を高める。昨年から一般市民の使用が可能となったことを受けて、各校一人以上の講習会出席を義務付け、適切な使用方法を修得させる。空港などで設置が進むAEDは、突然の心臓停止に効果的な治療法とされ、修学旅行などでの「トラブル」に備える。金沢市立の学校は、市教育委員会が市消防本部と連携して個別に取り組んでいる、という(北國新聞:平成17年7月19日)4)。 Nikkei Medical 2005年10月号15頁 1)には、「外的衝撃で起こる心室細動 心臓震盪」と題し、心臓震盪について次のような記事が掲載されている。 「心臓震盪による心室細動の発生には、@強さA位置Bタイミング の3つの要素が関与している。強さは、胸骨や肋骨の柔らかさと衝撃物の硬さに左右される。胸骨や肋骨が柔らかい場合や衝撃物が硬い場合は、衝撃が直接的に心臓に伝わりやすい。そして衝撃物が心臓に近い胸部全面の中央からやや左側に当たった場合に心室細動が起きやすい。 更に、衝撃物の当たるタイミングが心電図上のT波頂点の10〜30msec手前、すなわち心臓の収縮途中に衝撃物が当たった場合、先行するT波にR波が重なって(R on T型)心室細動を起こす。 これら3つの条件がすべてそろう確率はかなり低いと考えられる。だが戸田中央病院救急部部長の輿水健治氏は『心臓震盪は決して珍しい病態ではない』と強調する。一回の拍動で心臓震盪が起こる確率は2%(20/1000秒)にすぎないが、運動中は心拍数が上がるため、頻度が増すからだ。 心臓震盪は野球のボール(軟球も含む)が当たって引き起こされるケースが最も多く、ホッケーのパックやラクロスのボール、空手の膝蹴りなどが当たっても起きている。 しかし、東京都済生会中央病院副院長の三田村秀雄氏は『胸部に衝撃をもたらすものは、スポーツだけに限らない』と話す。けんかや幼児虐待による死亡にも、この機序が関与しているとの指摘もある。だが、『心臓震盪により死に至った場合、行政解剖を行っても胸部の皮膚に打撲の跡があるだけで、心臓の異常は認められないため、正確な死亡診断が付かない可能性がある』と三田村氏。 実際、国内での心臓震盪の実態はまだ分かっていない。治療上の問題もある。心臓震盪には、AEDによる除細動しか有効な方法がないが、AEDの適用は8歳以上に限られている。現在、厚労省では小児用AED電極パッドの認可に向けて検討を進めている。」 参考資料 1)外的衝撃で起こる心室細動 心臓震盪:Nikkei Medical 2005年10 月号15頁 2)三田村秀雄:北國新聞 平成17年2月28日 3)朝日新聞:平成17年7月17日 4)北國新聞:平成17年7月19日
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■ インフルエンザ治療薬 オセルタミビル(商品名タミフル)の安全性について (2005年 11月 29日 03:06) ********************************************************************************************** 平成17年11月19日付の朝日新聞に「インフルエンザ治療薬のオセルタミビル(商品名タミフル)を服用した日本人の子ども12人の死亡例があるとして、米国食品医薬品局(FDA)は18日に開かれる小児科助言委員会に、これらの症例を報告する。製造元のロシュと日本の厚生労働省からの報告をもとに助言委員会でタミフル服用との因果関係を検討する」と報道されています。 ********************************************************************************************** 平成17年11月18日に行われたFDAの小児科助言委員会は、子供の死亡とタミフル服用の因果関係について、FDAと同様に「証拠がない」と否定的な見解を発表。FDAは、助言委員会の勧告を受け、タミフルの副作用監視を継続することを決めています。 同日、日本の厚生労働省から配信された緊急情報「タミフルに係る米国食品医薬品局(FDA)関係情報」には、次のように報告されています。 「『タミフルに係る米国食品医薬品局(FDA)関係情報』 1.FDAホームページにある『Set of Questions for the Adverse Event PAC and Tamiflu Q & As』『General Meeting Questions: No.9』より抜粋 小児患者におけるタミフルの安全性にかかる入手可能な情報を評価したところ、日本における子供の精神神経症状の報告増加は、インフルエンザ関連の脳症に対する意識の高まり、日本におけるタミフルの入手しやすさ、市販直後調査期間との一致と大いに関連しているものと考えられる。我々が入手可能な情報によると、タミフルと報告された小児死亡との間に因果関係があるとは結論づけられない。 2.FDAホームページにある Sides 『Summary of FDA Action Plan for Tamifle Related to Pediatric Safety,Linda Lewis,MD,FDA 』より抜粋 まとめ ・死亡と精神神経症状がタミフルと関連した安全上のシグナルであると説明するには証拠が不十分である。 ・精神神経症状のパターンが、日本からの有害事象報告の増加、日本における薬の使用量増加及び以前のインフルエンザの流行と関連していると考えられる。 ・重度の皮膚反応は、インフルエンザの症状とは考えにくく、むしろ薬による有害事象と考えられる。その他のデータは評価中。 行動計画 ・DAVP(Division of Anti-Viral products)及びODS(Office of drug safety)(注:FDAの部局の名称)は、インフルエンザシーズンの間、タミフル及び他の抗ウイルス薬の使用によると報告された有害事象を毎月モニタリングする。 ・有害事象の情報は定期的な電話会合においてCDC(米国疾病管理センタ−)と共有し、米国インフルエンザ・サーベイランス・データとして討議する。 ・何らかの傾向があれば、更に調査する。 ・死亡又は精神・神経症状の有害事象に関してタミフルの添付文書を変更する計画は現在ない ・現在の追加資料の評価終了時に、一般的な小児の安全性情報及び重度な皮膚反応の更新。 ・今後の会合において、有害事象の継続モニタリングについて小児諮問委員会へ最新情報を報告する予定。 (参考)なお、FDAが公表した死亡例12例は市販後のものであり、治験中1例を加え、把握している死亡例は合計13例。 照会先:厚生労働省医薬食品局安全対策課」
子供の死亡とタミフル服用の因果関係については、因果関係があるとする専門家の意見もあり、今後の継続的に情報を収集する必要があると思われます。
引用資料 1)厚生労働省新着情報配信サービス:○緊急情報「タミフルに係る米国食品医薬品局(FDA)関係情報」http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/11/h1118-2.html 2)朝日新聞 平成17年11月19日 3)共同通信社 平成17年11月18日 ワシントン
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■ 塩酸パロキセチン水和物の投与中止(特に突然の中止)又は減量によりみられる症状は薬物依存によるものではない (2005年 11月 23日 14:18) ******************************************************************************** パロキセチンの減量や投与中止により発現する症状(めまい、知覚障害、悪夢、振戦など)は、本症状をICD-10の「依存症候群」の基準に照らして分析した結果、この基準に該当した症例がなかったことから、医薬品添付文書に“薬物依存によるものではないと考えられている。”こと、更に、“患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をすること。”等が追記された。********************************************************************** 医薬品・医療機器等安全性情報No.215の「使用上の注意の改訂(その167)」に、選択的セロトニン再取り込み阻害剤 塩酸パロキセチン水和物の重要な基本的注意「投与中止に関する記載」改訂が、次のように記載されています。 「薬品名:パキシル錠(グラクソ・スミスクライン);重要な基本的注意『投与中止に関する記載』改訂(2005年.6月) 投与中止(特に突然の中止)又は減量により、めまい、知覚障害(錯感覚、電気ショック様感覚等)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、嘔吐、振戦、錯乱、発汗、頭痛、下痢等があらわれることがある。症状の多くは投与中止後数日以内にあらわれ、軽症から中等症であり、2週間ほどで軽快するが、患者によっては重症であり、また、回復までに2 , 3カ月以上かかる場合もある。これまでに得られた情報からはこれらの症状は薬物依存によるものではないと考えられている。 本剤の減量又は投与中止に際しては、以下の点注意すること。 1)突然の投与中止を避けること。投与を中止する際は、患者の状態を見ながら数週間又は数ヶ月かけて徐々に減量すること。 2)減量又は投与中止後に耐えられない症状が発現した場合には、減量又は中止前の用量にて投与を再開し、より緩やかに減量することを検討すること。 3)患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をすること。また、飲み忘れにより上記のめまい、知覚障害等の症状が発現することがあるため、患者に必ず指示された通りに服用するよう指導すること。」
(社)東京都薬剤師会発行の医薬品情報 No.3, 8-9頁、(平成17年11月)では、パロキセチンの中断症候群について、上記の添付文書改訂を受けて、次のように解説しています。 「●パロキセチンの中断症候群 パロキセチンの減量や投与中止により発現する症状は、中断症候群、退薬症候群、投与 中止症状と呼ばれ、心理的な依存性がある薬物の離脱症候群と区別されることが多い。本剤の投与を中止あるいは減量した際にみられた症状について得られたデータをICD-10(国際疾病分類第10版(1992)の「依存症候群」の基準に照らして分析した結果、この基準に該当した症例がなかったことから、これらの症状は薬物依存によるものではないと考えられている。 ●中断症候群の症状 中断症候群の症状としては、めまいが最も多く、続いて吐き気などの消化器症状に、頭痛や酩酊したような感じ、歩行不安定、四肢に電撃が走るような感覚異常や視覚の異常、全身倦怠感、筋肉痛、悪夢、抑うつ、突然泣くなどの情動不安定、衝動行為など、身体症状や睡眠障害、運動の異常、精神神経症状が出現することが知られている。こうした症状は薬を中止してから1〜3日以内に起こることが多く、再び薬を服用すると24時間以内におさまるのが特徴であるとされている。 ●薬剤による違いと発症のメカニズム 選択的セロトニン再取り組み阻害剤(SSRI)として、フルボキサミン、パロキセチンのほか、海外ではフルオキセチン、セルトラリンが承認されている。海外での調査結果では、SSRIのなかでもパロキセチンによる中断症候群の発現が有意に多いことが報告されている。その理由として@パロキセチンの半減期が短いこと(約15時間)、Aパロキセチン自体が肝臓のCYP2D6で代謝されるため、中断による急激な血中濃度の変化が生じやすいことが関与していると推定されている。フルボキサミンによる中断症候群の報告数は少ないが、パロキセチンと同様半減期が短い(約18時間)ため、注意が必要と考えられている。 現在、中断症候群の発症のメカニズムは明らかになっていないが、これまでの臨床経験では女性にやや多く、また、最近の研究では、脳内セロトニン受容体の遺伝子多形の関与が示唆されている。 中断症候群の発現には可成り個人差があるが、通常、4週間以上継続して投与されている場合に発現する可能性があるとされている。また、少量のSSRI(例:パロキセチン1日10mg)を中断した例でもかなり重篤な中断症候群が起こる場合があることが指摘されているので、慎重な漸減が必要である。」
薬物依存ではないと言っても、投与中止に際しては、添付文書に記載された本剤投与中止に関する基本的注意事項 1)〜3)を守ることが必要と注意が喚起されています。
参考文献 1)医薬品・医療機器等安全性情報 No.215 平成17年7月 厚生労働省医薬食品局 http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/PMDSI215d.html 2)医薬品情報No.3 ,6〜7頁(平成17年11月)(社)東京都薬剤師会 発行
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■ 「妊娠と薬情報センター」の設置について (2005年 11月 11日 01:29) ******************************************************************************** 厚生労働省医薬食品局安全対策課は、報道資料として、「平成17年10月3日(月)から国立成育医療センター内に『妊娠と薬情報センター』を設置し、服薬による影響について相談・情報収集事業を開始する(平成17年9月28日付)」と発表しています。なお、設置当初(平成17年度中)は、試験的に相談業務の対象地域を世田谷区としています。 ******************************************************************************** 発表内容はhttp://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/09/h0928-4.htmlで閲覧できます。 その内容はは次の通りです。 「 『妊娠と薬情報センター』の設置について 1.概要 平成17年10月3日(月)から、国立成育医療センタ−内に『妊娠と薬情報センタ−』を設置し、服薬による影響について相談・情報収集事業を開始する。 2.経緯 医薬品の胎児への影響については、必ずしも十分な情報がないことなどから、服薬による影響の相談・情報収集について、平成17年1月から3回にわたり『妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会』を開催したところであり、各分野の委員からの意見を踏まえ、今般、『妊娠と薬情報センター』を設置し、相談窓口を設置するとともに出生児に関する情報を収集するための仕組みを構築する事業を開始するものである。 3.具体的な事業内容 (1)国立成育医療センターに『妊娠と薬情報センター』を設置する。 なお、設置当初(平成17年度中)は、試験的に相談事業の対象地域を世田谷区とすることとする。 (2)上記の『妊娠と薬情報センター』において ・服薬による影響を心配する妊婦又は妊娠を希望する女性からの主治医を通じた相談及び対面相談を受ける相談事業を開始する。 ・相談事業を通じて、妊婦の同意・協力を得て出生児に関する情報を収集・蓄積する。 【参考】『妊娠と薬情報センター』の連絡先 住所:〒157-8535 東京都世田谷区大蔵2-10-1 国立成育医療センター内 TEL:03-5494-7845(代表) FAX:03-3415-0914 ホームページ:http://www.ncchd.go.jp/ ※:上記TEL及びFAXは、平成17年10月3日に開設予定 」 となっています。
ホームページ:http://www.ncchd.go.jp/ を開きますと、国立成育医療センターのホームページ(平成17年11月4日更新)を閲覧できます。その中の、「妊娠と薬情報センター」をクリックすると、「妊娠と薬情報センターとは?」の画面を閲覧できます。 妊娠と薬情報センター事業の、今後の全国展開が期待されます。
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■ 食品安全委員会 大豆イソフラボンの1日摂取目安量を再審議 (2005年 10月 21日 10:34) ******************************************************************************** 「揺らぐ大豆イソフラボン 食品安全委員会 摂取目安を再審議「取りすぎ」体に悪影響」という見出しで、健康によいと注目されている大豆イソフラボンの1日摂取目安量について食品安全委員会で再審議されていることが、朝日新聞(平成17年9月23日)に報道されている。1) ******************************************************************************** 大豆イソフラボンは、大豆、主に大豆胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種であり、ゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインの3種類の非配糖体(イソフラボンアグリコン)とそれぞれに3種類の配糖体(ゲニスチン、ダイズイン、グリシチン)が知られている。 味噌、納豆等の大豆発酵食品中にはイソフラボンアグリコンが多く含まれるが、ほとんどの場合、食品中でイソフラボンは配糖体として存在している。これまでに、大豆イソフラボン配糖体を関与成分とする清涼飲料形態の特定保健用食品が既に許可され、販売されているが、今般、イソフラボンアグリコンを関与成分とする食品及びイソフラボン配糖体を関与成分とする錠剤形態の食品について、新たに特定保健用食品としての安全性評価が行われ、その結果が案として専門調査会から報告(平成17年4月)されている。2) 大豆製品に含まれるイソフラボンは、主なものとしてゲニスチン(配糖体)約60%、ダイズイン(配糖体)は約30%、これらは腸内細菌叢で加水分解(βグルコシダーゼにより)され、それぞれゲニステイン(アグリコン)とダイゼイン(アグリコン)となり、更に腸内細菌叢の酵素によりゲニステインは6-ハイドロキシ-O-DMAやジハイドロゲニステインに、ダイゼインはO-DMAやイコールに代謝されます。この中でイコールのみがエストロゲン作用を持つことが知られている。従って、大豆イソフラボン配糖体を摂取した場合、その中のダイズインのみが腸内細菌叢での加水分解と酵素による代謝でイコール(エストロゲン活性有)へ変換されることになる。2) 平成17年9月28日に、NHKの“ためしてガッテン”で「豆乳!うわさの大検証」が放送された。その中で、専門家の解説として「『イコールができなければイソフラボンに期待できない』というわけではないが、イコールができる人とそうでない人とでは、効果の出方に大きな差があるということが判明しつつあります。イコールができる人とできない人が分かれるのは、イコールを作りやすい腸内細菌がいるかどうかという違いが原因です。これは食生活によって変わる可能性があります。」と解説している。3) 大豆イソフラボンは、構造が女性ホルモンのエストロゲンによく似ている。このため体内でエストロゲンと同様の作用をすることが期待され、更年期にエストロゲンの減少で進行する骨粗鬆症などの予防に有効とされる。だが過剰に摂取すれば、内分泌かく乱作用などの懸念もある。同委員会の専門調査会は、疫学や実験のデータをもとに安全性に問題のない摂取量の目安を議論してきた。専門委員会が4月に示した摂取量の目安案は、アグリコンの量として、男性1日当たり70mg、閉経前の女性はアグリコンの量として59mg、閉経後の女性は同71mgであった。一方、国民栄養調査(02年)による主な大豆食品100g中のアグリコンの平均含有量は、みそ49.7mg、納豆73.5mg。目安案は「日常的に食べている豆腐や納豆などの伝統的な大豆食品による摂取量では安全性への懸念はない」とした。だが、4、5月、一般の意見を求めたところ、「納豆は1パックが40〜50gだから、2パック程度で超えてしまう」「大豆食品の食べ過ぎで影響が出たなどは聞いたことがない」といった指摘がなされた。その後、専門調査会は、日常的な食生活に上乗せして摂取するアグリコンの量として、エストロゲン製剤1錠分に相当する「26mg以内」とする修正案を出したが、結論は出ず、現在も審議が続いている。1)2) 現時点では、エストロゲン製剤の服用患者について、特定保健用食品などの大豆イソフラボン製品の摂取量については大量にならぬようチェックが求められる。 参考資料 1)朝日新聞 平成17年9月23日 2)大豆イソフラボンの安全性評価について(案):新開発食品専門調査会 平成17年4月 ;内閣府食品安全委員会:意見募集 http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/iken-kekka/kekka.html 3)ためしてガッテン;豆乳!ウワサの大検証(2005年9月28日放送) http://www.nhk.or.jp/gatten/archive/2005q3/20050928.html
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■ 久山町研究で示された糖尿病疫学班研究:耐糖能異常と悪性腫瘍の関連 (2005年 10月 14日 11:55) ******************************************************************************** 久山町研究を率いる九州大学病院第二内科(現・病態機能内科学)講師清原裕氏は、2002年に行われた検診結果から、調査対象である40歳以上の地域住民中、男性では54%、女性でも36%が耐糖能異常(糖尿病を含む)と判定されたとし、さらに最近の解析から、糖尿病者では悪性腫瘍による死亡が非糖尿病者の約3倍に上ることが明らかになった、と報告しています(日経CME 2005.9月 1-2頁)。 ******************************************************************************** 久山町研究は九州大学第二内科(現・病態機能内科学)が1961年から始めた我が国の代表的な疫学研究。まず1961年に40歳以上の全久山町住民を対象として検診を行い、第一集団(1618人)を設定。この集団について、脳卒中や虚血性心疾患、突然死の発症を追跡すると共に、死亡した場合は剖検して死因を特定している。その後13−14年毎に同様な一斉検診を行い、1974年に第二集団(2038人)、1988年に第三集団(2637人)、2002年に第四集団(3317人)と、コホートを更新しながら現在でも心血管疾患の発症追跡と剖検、定期的な検診が続けられている(日経CME 2005.9月 1-2頁)。 今回、日経CMEに記載されている久山町研究の報告では、男性における耐糖能異常(糖尿病も含む)の頻度が第一集団設定時(1961年)の11%から一貫して上昇、第四集団設定時(2002年)では56%、女性も同様に5%から36%に増加している。久山町の1988年の検診結果を受け厚生労働省(現在)が9年かけて行った疫学調査でも、軒並み久山町と同様な結果であったという。 さらに、清原氏は糖尿病と悪性腫瘍との関係について、1988年に設定した第三集団の悪性腫瘍死亡率を耐糖能レベル別にみてみると、正常者に比べ糖尿病では男性2.8倍、女性3.2倍とどちらも有意に増加していた。さらにHbA1cのレベルごとに悪性腫瘍による死亡の相対危険度をみると、きれいな比例関係にあり、HbA1cが8.0−8.4%群以上では有意な増加が確認できた、としている。 なぜ糖尿病患者で悪性腫瘍が増えるのかについては、清原氏はまだ推論の域を出ないが、@培地のグルコース濃度が高いと細菌の突然変異が増えることから、高血糖状態はDNAに損傷を与え突然変異を起こしやすい、A殆どを占める2型糖尿病では高インスリン血症がベースにあると推定できることから、成長因子であるインスリンにより悪性腫瘍細胞の成長が促進される、B老化や糖尿病合併症の原因とされる糖化物が細胞の癌化にも作用する、といった可能性が考えられるととしています。
厚労省は生活習慣病の重点検診を中心に肥満・高脂血症・糖尿病への集団的アプローチを推進し(薬事日報平成17年8月10日)、また、厚労省がん対策推進本部は「アクションプラン05」をまとめ(日本薬業新聞平成17年8月30日)生活習慣病としての糖尿病やがん対策を進められており、これらの集学的対策の結果が期待されます。 引用資料 1)スペシャルレポート「40歳以上男性は過半数が耐糖能異常 悪性腫瘍との関連も明らかに :日経CME(日経メディカル同封別冊) 2005年9月1-2頁 2)「生活習慣病を重点検診 厚労省検討会 集団的アプローチが大切に」 :薬事日報 平成17年8月10日 3)「がん対策推進アクションプラン05まとむ 厚労省・がん対策推進本部」 :日本薬業新聞 平成17年8月30日
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■ 「あなたの食事は大丈夫? 食事バランスガイドの活用を!」平成17年度食生活改善普及運動がスタートしました (2005年 10月 07日 12:55) ******************************************************************************** 厚生労働省健康局は、通知「平成17年度食生活改善普及運動の実施について」を都道府県、政令市、特別区、市町村及び関係団体に発出し、平成17年度食生活改善普及運動をスタートさせました。平成17年10月1日(土)から同月31日(月)までの1カ月間を食生活改善普及月間。 ******************************************************************************** 本年6月には、これまで普及・定着に努力していた「食生活指針」をより具体的な行動に結びつけるために、「何を」「どれだけ」食べればよいかを示した「食事バランスガイド」が厚生労働省及び農林水産省との協働で策定されました。 平成17年度食生活改善普及運動は、正しい食生活の実践のための「食事バランスガイド」を活用し、「食生活指針」の普及・定着を図るとともに、国民一人ひとりの食生活改善に対する自覚を高め、日常生活での実践を促進するために、平成17年10月1日(土)から同月31日(月)までの1カ月間を食生活改善普及月間として展開するものです。 平成17年度食生活改善普及運動の要点は次のようなものです。 ○名称 平成17年度食生活改善普及運動 ○趣旨 栄養・食生活においては、食生活を取り巻く環境の変化から、加工食品や外食への過度の依存、食卓を中心とした家族団らんの喪失が見受けられるほか、男性の肥満や若い女性のやせの増加など、正しい食生活についての認識が低下していると考えられる。このため、文部科学省、厚生労働省及び農林水産省において「食生活指針」の普及・定着に向け、各種事業の推進を行っており、さらに本年6月には「食生活指針」をより具体的に行動に結びつけるために、「何を」「どれだけ」食べればよいかを示した「食事バランスガイド」を厚生労働省及び農林水産省との協動により策定したところである。これらの状況を踏まえ、正しい食生活の実施のための「食事バランスガイド」を活用し、「食生活指針」の普及・定着を図るとともに、国民一人ひとりの食生活改善に対する自覚を高め、日常生活での実践を促進するために展開する。 ○実施機関 厚生労働省、本運動の趣旨に賛同する都道府県、政令市、特別区、市町村及び関係団体 ○実施期間 平成17年10月1日(土)〜10月31日(月) ○統一標語 「あなたの食事は大丈夫? 食事バランスガイドの活用を!」 ○重点活動の目標 特に、30歳〜60歳代男性の肥満傾向にある者、単身者、子育てを担う世代を対象とする。 ・30〜60歳代男性の肥満傾向にある者 (1)食事はバランスよく、夕食は軽めに。 (2)油を使った料理は控えめに。 (3)野菜はもっと食べましょう。副菜は5つ。 ・単身者 (1)食事が基本。健康は食事から。 (2) 朝食は欠かさず。 (3)外食・中食でも、もっと野菜料理を。 ・子育てを担う世代 (1)食事はバランス良く。親子で楽しく。 (2)朝食は欠かさず。 (3)めざせ。野菜大好き。 ○重点活動の内容 (1)「食事バランスガイド」等を活用し、食生活の問題点を明確にし、日々の活動に見合った主食、副菜、主菜の食事量を示し、適正摂取を楽しく継続させるため食生活改善の意欲が増すような支援を行う。 (2)BMI(Body Mass Index)やウエスト周囲径測定の普及とともに、内臓肥満や糖尿病等のメタボリックシンドロームに関する理解を深め、標準体重などから自分の体型に対する自己評価が正しく行えるようにする。 (3)野菜料理などの副菜の摂取量が少ないことを気づかせ、野菜の摂取量を増やすための料理選択の工夫を、対象の特性に応じて支援を行う。 (4)単身者など朝食を欠食しがちな単身者等については、簡単にできる朝食の組合せなど、日常生活のなかで実践できるような支援を行う。 (5)肥満が気になる者には、エネルギーと脂質との関係を理解し、油を多く使った料理を知り、日常生活のなかで油の摂取量を控えるための工夫ができるように食生活の支援を行う。 (6)肥満又は過度のダイエット志向の者に対して、食生活と運動の両面からのプログラムを提供するとともに、その実践が継続できるように支援する。 ○活動の方法(略) ○関係機関の役割(略) ☆食事バランスガイドに関するホームページ http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html 以上の詳細については、引用資料を参照して下さい。
引用資料 厚生労働省:平成17年度食生活改善普及運動の実施について http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/09/tp0901-3.html
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■ ヒヤリハット事例に学ぶー多様化する剤形や包装および後発医薬品 (2005年 09月 29日 15:01) *************************************************************************************************** 口腔内崩壊錠(レンドルミンD錠)から普通錠(レンドルミン錠)へ処方が変更されたにもかかわらず、患者さんは、それを知らず、普通錠を口腔内崩壊錠と思って口中で溶かして服用したヒヤリハットの事例が報告された(NIKKEI Drug Information 2005.9,35-36)。このような剤形や包装変更等の服薬説明の重要性が増してきている。 *************************************************************************************************** 日経DI 2005年9月号35-40頁に、東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座教授 澤田康文氏が全国から集められたヒヤリハット事例の中から次のような事例を紹介しています。 『【何が起こったか】 口腔内崩壊錠から普通錠へ処方が変更されたにもかかわらず、それを認識せずに普通錠を口腔内崩壊錠と思って口中で溶かして服用した。 【どのような経緯で起こったか】 これまで他の医療機関から、睡眠剤として、口腔内崩壊錠のレンドルミンD錠0.25mg(一般名:ブロチゾラム)が処方されていた患者さんが、通院先を変えたところ、レンドルミン錠が処方された。薬剤師は、これまでの患者さんの服用歴をきちんと確認せずに薬剤を交付した。患者さんは、レンドルミンには普通錠と口腔内崩壊錠の2種類が存在することを知らなかったため、今回交付されたレンドルミンも口腔内崩壊錠だと思い込み、これまで通り口中で溶かして服用してしまった。ざらざら感などがあり、何か変だと思いながらも、そのまま服用をつづけた。次の来局時に、「以前に比べ睡眠剤が溶けにくい。口の中がざらざらする」と患者さんから訴えがあり、薬剤師が確認したところ、レンドルミンの普通錠を口中で溶かしていたことが判明した。幸いなことに、寝つきが悪くなったなどの治療への影響や、口腔内の異常などの有害事象も特に認められなかった』 同氏は、在庫していない薬剤でも、普通錠のほか、口腔内崩壊錠あるいは口腔内速溶錠の剤形が存在する薬剤については処方薬がどちらであるかを再確認しなければならない。 特に、初めて来局した場合や、他の医療機関からの継続処方の場合は意識して詳細に処方内容の確認を行うこと、「お薬手帳」の積極的な活用も1つの方法とし、さらに口腔内崩壊錠、口腔内速溶錠の多くが普通錠と同じ「押し出す」方式をとっているが、一部の製剤では取り出し時崩壊を防ぐため、「PTP包装の裏側をはがして取り出す」方式を採用しているものがあることなど、注意点を喚起しています。 弁護士で作家である三輪亮寿氏は、『一般名処方や代替調剤が普及しつつある現況において、「錠剤が足らない」「錠剤の色が変わった」「説明もなしに薬を変えた」といったクレームや紛争は確実に増える』と予測しています(薬事日報平成17年9月21日)。同氏は、紛争防止のポイントは、患者さんによく説明して同意をとり、それをマメに記録にとどめておくことである、と述べています。
参考資料 澤田康文:NIKKEI Drug Information 2005.9,35-36 三輪亮寿:薬事日報 第10122号6頁、平成17年9月21日
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