全59件  1 2 3 4 5 6  次≫ 

■ インフルエンザの流行について (2011年 12月 17日 14:50)
年末になり、インフルエンザの増加が報告されております
今年の流行が入りが国立感染症研究所から報告されました
流行のピークは来月中旬以降だそうです
十分気を付けて、うがいなどをしっかり行い、予防しましょう
■ 薬局見学・体験ツアー(平成23年1月26,27,28日) (2010年 07月 10日 21:04)
金沢大学公開講座「薬局見学・体験ツアー」をアカンサス薬局を中心として一般(高校生以上)を対象に平成23年1/26(水)〜1/28(金)(全3日間)に開催します。お申し込みは金沢大学地域連携推進センター内のホームページ(http://www.kanazawa-u.ac.jp/faculty/kaiho_c/kouza.htm)から。
■ 薬学6年制について (2010年 07月 10日 18:32)
2010年4月から、アカンサス薬局においても新教育制度の下に、実務実習が開始されました。
詳細は日本薬学会のホームページ(http://www.pharm.or.jp/kyoiku/kyoiku.html)をご覧下さい。
また、金沢大学医薬保健学域薬学類の実務実習支援ホームページ(http://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~jishu/)をご覧下さい。
■ 医薬品情報につきまして (2008年 06月 09日 14:57)
一般の患者様への医薬品情報の詳細は
独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」の一般の皆様向けのコーナーに
掲載されており、大変便利です。
http://www.info.pmda.go.jp/ippan.html
■ 短時間睡眠と高血圧発症や死亡のリスクファクター (2006年 07月 31日 21:45)
********************************************************************************
河内秀明氏は「短時間睡眠は高血圧発症や死亡のリスクファクターとなるか?」と題しJames E.Gangwischらの成績「アメリカの国民栄養調査に参加した32歳-86歳の被験者4,810名の睡眠時間と高血圧発症との関係について、8-10年以上フォローアップして解析し、とくに32歳-59歳の被験者にしぼって解析すると、睡眠時間5時間以下の群では7-8時間の群に比べ高血圧発症が1.60倍高いリスクであり、このような短い睡眠時間は高血圧の重要で、かつ是正できるリスクファクターであると考えられる」等を紹介している。1)
********************************************************************************
 河内秀明氏は日本薬剤師会雑誌(2006.7月号54頁)の「海外事情」の中で、睡眠時間と高血圧症発症や死亡の関係を概説している。
まず、James E.Gangwischらの報告(Hypertension,47,833(2006))。
「1.James E.Gangwischらは、NHANES I (The first National Health and Nutrition Examination Survey:アメリカの国民栄養調査)に参加した32歳-86歳の被験者4,810名の睡眠時間と高血圧発症との関係について、8-10年以上フォローアップしたデータを解析した。
その結果は、全体として647名(13.5%)が高血圧と診断された。このうち睡眠時間別の高血圧発症状況をみると、
5時間以下の群:74例/358例(20.7%)
6時間の群:128例/931例(13.7%)
7-8時間の群:391例/3,173例(12.3%)
9時間以上の群:54例/348例(15.5%)
であり、7-8時間の群の高血圧発症リスクを1とした時に、5時間以下の群では1.76倍の有意に高いリスクであった。とくに、これを32歳-59歳の被験者で解析すると、睡眠時間が7-8時間の群では290例/2,451例(11.8%)であるのに対し、5時間以下の群では57例/241例(23.7%)に高血圧発症が認められ、5時間以下の群では7-8時間の群に比べ、2.10倍高いリスクであった。さらに、この関係は昼間の眠気、抑うつ、身体活動、アルコール摂取量、食塩摂取量、喫煙状況、脈拍、性別、教育歴、人種、肥満の程度および糖尿病の有無について補正した後も1.60倍高いリスクであり、有意のままであった。
このように短い睡眠時間は高血圧の重要で、かつ是正できるリスクファクターであると考えられる。」
さらに、玉腰暁子らの報告(医学のあゆみ 209,982(2004))。
「2.玉腰暁子らは、全国45地区約11万人を対象に10年間追跡調査をし、睡眠時間が7時間(6.5-7.4時間)を基準にしたときの年齢調整をした死亡リスクを検討した結果、睡眠時間は長くても短くても7時間に比べ死亡リスクを上げることが明らかとなった。その程度は4時間未満(4.4時間まで)の睡眠時間では男性で1.62倍、女性で1.60倍であり、また10時間以上(9.5時間以上)の場合には男性で1.73倍、女性で1.92倍であった。睡眠時間は仕事や家庭などの社会環境、ストレスなどの精神的な健康状態、病気の影響なども受けるため、うつ状態、自覚的ストレス、喫煙や飲酒、教育歴や既往歴を調整したところ、男性では短い睡眠時間は死亡のリスクを上げないが、女性では4時間未満の睡眠時間は7時間と比べ約2.0倍のリスク上昇を示している。」
また、アメリカの大規模な研究報告2報。
「3.Ayas N.T. et al(Arch. Intern. Med. ,163, 205(2003))
4.Kripke D.F. et al(Arch. Gen. Psychiatry. ,59,131(2002))
の報告で、睡眠時間が長くても短くても死亡リスクが高くなることを報告している。」
を概説し、これらの報告の考察の中から、河内秀明氏は、
「いずれにしても睡眠時間が長いと死亡しやすくなる機序はあきらかになっていなが、短い睡眠時間は休養が不十分であることを意味していると考えられる。また、睡眠時間が短いと、循環器や免疫機能に影響を及ぼし、疾患のリスクが上昇し死亡率の上昇に関連すると考えられている。睡眠時間はいろいろな要因が複合した結果としての健康指数を示している可能性があり、個人のもつ身体的要因のほかにも、精神心理的状態や社会環境などのさまざまな要因の影響を受ける。さらに、睡眠には時間のほかに睡眠の質も重要な要素で、適切な睡眠時間・体質・個性・年齢による差が大きい。大切なことは7時間程度が良いということを踏まえて、自分の体調が最適になるように睡眠をとることであろう。さらには他の重要なライフスタイル(喫煙・労働時間・飲酒・運動・朝食・栄養バランス・ストレス)も含めて、ライフスタイルを見直し、健康水準や生活の質を高めるようにすることが重要となってくるであろう。」とまとめている。
参考資料
1) 河内英明:短時間睡眠は高血圧発症や死亡のリスクファクターとなるか?;日本薬剤師会雑誌58(7)870,2006
■ くすりの絵文字「ピクトグラム」改訂版で51種類 (2006年 07月 28日 10:29)
********************************************************************************
 くすりの適正使用協議会は、2年前に28種類のピクトグラムを公表したが、その後、協議会内に設けた「ピクトグラム懇話会」の検討を経て、医療現場で活用できる改訂版として51種類を開発した。7月20日、ホームページ「くすりの情報ステーション」の中のRAD-AR TOPICS に公表している。1)
********************************************************************************
 くすりの適正使用協議会では、これまで提供してきた28種類のくすりの絵文字「ピクトグラム」に訂正や追加を行い、今回51種類のくすりの絵文字改訂版をホームページ「くすりの情報ステーション」の中のRAD−AR TOPICS 1)に発表した。
 同協議会は、さらに、薬剤師が調剤の際に「具体的にどのような活用方法があるのか?」とのヒントを集約した「くすりの絵文字活用マニュアル」を編纂して、同時に配布することにしている。
 ホームペ−ジには、ピクトグラム使用にあたってQ&Aとして次の13項目をあげ解説している。

Q1 使う「目的」は何ですか。
 くすりの絵文字はくすりの説明書に替わるものではない。患者さんへの服薬説明は、薬の説明書とくすりの  袋により薬剤師から口頭できちんと実施されるが、そのうえで患者さんに対して、「特にこれだけは必ず守 って下さい」という重要事項を、最後に確認する「駄目押し」のツール、くすりのケアという位置付けとし ている。
  わが国ではくすりを正しく用いるために基本情報は、文字情報で詳しく提供されているが、それでも患者 さんによっては、飲み忘れたり、誤った用い方をしている場合が現実に見られる。それをなんとか防ぐため にも、最後の決めうちツールとして活用されるよう作成された。
  くすりの適正使用協議会の「一般市民の医薬品および医療に関する意識調査」(2005年10月)によれば1/3 の市民は絵文字を求めていることが分かった、と報告している。
Q2 どんな種類があるのですか。
 合計で51種類。内訳は、
 ・くすりの使い方 11種類
 ・くすりを用いる時間のめやす 14種類
 ・くすりを用いるときの注意事項 6種類
 ・やってはいけないこと(禁止事項) 18種類
 ・日常生活で注意すること 2種類
 絵文字の下段には説明書きが2行以内で記載されている。
Q3 どんな時に使ったら良いのですか。
1) あらかじめ使う場面を想定しておく
2) くすりを患者さんに渡すとき
(1)保険薬局でくすりを調剤するとき
(2)病棟のベッドサイドでくすりを説明するとき
(3)在宅介護でくすりを渡すとき
(4)介護施設(障害者向けの施設を含む)でくすりを渡すとき
3) くすりの授業で児童に紹介するとき
(1)小・中学校で「くすりの授業」を行うとき
(2)養護学級や学童保育の現場でくすりの用い方を指導するとき
Q4 使用例はありますか。
1)「くすりの使い方」での使用例
2)「くすりを用いる時間のめやす」での使用例
3)「くすりを用いるときの注意事項」での使用例
4)「やってはいけないこと」での使用例
5)「日常生活で注意すること」での使用例< 2種類の絵文字 >
Q5 どうやったら入手できますか。
1) 絵柄をダウンロードして活用
2) レセコン・ソフトへの組み込み
3) シール印刷
4) ピクトシールの購入
Q6 シールにできますか。
 シール印刷法について解説されている。(略)
Q7 ソフトに組み込めますか。
 レセコン・ソフトへの組み込みについて解説されている。(略)
Q8 活用マニュアルはありますか。
 この頁からダウンロードできます。「くすりの絵文字活用マニュアル」には、ここにあげられている全ての
Qが解説されています。
Q9 使いたい絵柄がないのですが…。
  (略)
Q10 薬局で使ってくれないのですが…。
  (略)
Q11 取扱ステッカーはありますか。
  絵文字(ピクトグラム)を使用して、くすりのケアしていただける薬局・病院機関には、取扱いステッカ ーを無料で送付する。
Q12 開発の経緯を知りたいのですが…。
  開発の経緯について詳細に解説されていますが、ここでは略。
Q13 今後の展開予定を教えてください。
  (略)
詳細は参考資料を参照ください。
くすりの絵文字「ピクトグラム」は、薬剤師の服薬説明のツール、患者さんに対して「特にこれだけは必ず守って下さい」という重要事項を確認するための工夫がなされています。
参考資料
1)くすりの情報ステーションRAD−AR TOPICS: http://www.rad-ar.or.jp/blog/
■ 乳がん患者におけるサプリメント使用の注意点 (2006年 07月 21日 11:02)
********************************************************************************
 がん患者が利用しているサプリメントとしては、@抗酸化ビタミン、A緑茶成分、B植物エストロゲン、Cミネラル、Dω3不飽和脂肪酸、Eキノコ類、Fサメ軟骨・脂質、Gニンニク・ショウガエキス、Hいわゆる薬草、生薬由来成分など多種多様である。丸山徹らは、乳がん患者におけるサプリメント使用の注意点について総説している。1)
********************************************************************************
 2002年の日本がん治療学会で、がん専門病院やホスピスに入院または通院しているがん患者を対象としたアンケート結果が報告された(厚生労働省研究班調査)。その内容は、@がん患者の44.6%は補完代替療法を利用、Aそのほとんど(96.2%)がキノコ類、ハーブ、サメ軟骨などのサプリメントを使用、B利用者の45%が治癒を、67%は進行抑制を、27%は症状の軽減を期待していた。
 丸山徹、小田切優樹らは、「サプリメントは有害事象や抗がん剤との相互作用を引き起こすことがあるため治療に影響を及ぼす危険性も指摘されている。」として、「乳がん患者におけるサプリメント使用の注意点」について紹介している。1) 概要は次の通りです。
「@総合ビタミン
乳がん患者に対するビタミンの摂取はβカロテンを含まないマルチビタミン程度であれば摂取しても問題ないと思われるが、できるだけ必要な栄養素を食事から摂取するように指導すべきである。
Aβカロテン
乳がんに関してはβカロテンとの関連性は報告されていないが、有益性も認められないことから、サプリメントの形での積極的な摂取は避けるほうが望ましい。とくに、喫煙者では注意が必要である。
B葉酸
葉酸による乳がん予防効果については、約8万9千人の女性を対象としたコホート研究(Nurses Health Study)が報告されており、葉酸の摂取量と乳がんの発症率の間に相関性が認められないことが報告されている。ただし、1日15g以上のアルコールを摂取していたグループでは、葉酸の摂取量が低い(300μg以下)と乳がんのリスクが増加していた。したがって、アルコールを常飲している女性の場合は葉酸をきちんと摂取(600μg)したほうが望ましいかもしれない。
C緑茶成分
緑茶は、カテキン類などのポリフェノール(とくに、エピガロカテキン-3-ガレートなど)を豊富に含んでいるため、がんの予防や再発防止効果が期待されている。いくつかのパイロット試験では有効性を示唆する結果も得られているが、無効であるという結果も報告されており、明確な有益性は証明されていない。FDAでも、現時点での評価は利益やリスクについて結論するだけの十分な知見がないとしている。
Dキノコ類由来成分
キノコ由来のサプリメントは、アガリクス、マイタケ-D-フラクション、メシマコブ、レイシなど、多種の製品が流通している。これらは一般的に、免疫賦活作用などにより抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。キノコ類由来成分の有効性に関する書籍は数多く出版されているが、信頼性に欠けるものも多い。最近、金沢大学薬学部の太田らが見出した、低分子成分ABMK-22に含まれるISY-16(化学構造不明)が肺がんや大腸がんに対して予防効果を有することが動物実験で示されている。そのため、現在、米国国立がん研究所(NCI)において、ヒトのがんに対する予防効果と安全性の検証が行われている。
E大豆エストロゲン
わが国における、乳がんと大豆食品との関係をみた追跡調査の結果でも、みそ汁を1日に3杯以上飲むと、1杯以下しか飲まない人たちに比べて、閉経後の乳がん罹患率が42%減少することが報告されている(厚生労働省研究班(2003))。現在のところ、みそ汁の効果は、含有されているイソフラボンが抗エストロゲン作用やチロシンキナーゼ活性を有しているためではないかと考えられている。しかしながら、イソフラボンはエストロゲン依存性乳がん細胞の成育を刺激する可能性も指摘されている。そのため、エストロゲン受容体陽性に対するイソフラボンサプリメントの摂取は、確実な評価が得られるまでは慎重に対応すべきであろう。

(注)内閣府食品安全委員会事務局(平成18年5月16日更新)が発表した「大豆イソフラボンに関するQ&A」2) の問20に次のような記載がみられます。
問20: 特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値30mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。
閉経前女性を対象に、日常の食生活に上乗せして大豆イソフラボンを摂取した臨床試験(13報)から、データが揃っている4報告(5試験)を選択し、検討しました。その結果、大豆イソフラボンアグリコンを57.3mg/日及び147mg/日摂取した試験において、血清E2濃度の低下と月経周期の延長が併せて見られることから、大豆イソフラボンアグリコン57.3mg/日を上乗せして摂取する場合の最低影響量と考察しました。
 試験設計の差や個人差等を考慮し、大豆イソフラボンアグリコンとしておおよそ30mg/日を閉経前女性における、特定保健用食品としての大豆イソフラボンの安全な一日上乗せ摂取量の上限値として設定しました。
 閉経後女性及び男性の日常の食生活に上乗せして摂取する量の上限値については、検討できる報告がありませんでしたが、閉経後女性の感受性が閉経前女性に比べて低くはないこと、男性の感受性が大きく女性と異なるとする理由が見出されないことから、閉経前女性の結果を外挿し、大豆イソフラボンアグリコンとして30mg/日としました。
詳細については引用文献をご参照下さい。

合わせて、本ホームページの新着ニュース(2005年10月21日付新着ニュース)「食品安全委員会 大豆イソフラボンの1日摂取目安量を再審議」もご参照下さい。

Fサメ軟骨エキス
最近の進行性乳がん患者および大腸がん患者を対象とした臨床試験結果(RCT)では、延命やQOL改善のいずれの効果も見出せていない。また、がん患者は疾病や治療により高カルシウム血症になることがあるが、サメ軟骨、カルシウム、ビタミンDを併用しているケースで、高カルシウム血症が助長されたケースが報告されているので、安易な利用は慎むべきであろう。
G不飽和長鎖脂肪酸
イタリアで行われたコホート研究(ORDET)で乳がんのリスク低減に対するオリーブ油の有効性が認められている。細胞レベルの検討結果からも、オリーブ油に含まれるオレイン酸(C18:1)が乳がん関連遺伝子Her2/neuの過剰発現を抑制することが見出されている。このことは、オレイン酸を併用すると抗Her2/neu抗体トラスツズマブの効果を相乗的に増強する可能性を秘めている。γリノレン酸(C18:3)においても同様な効果が得られている。
 サプリメントによる健康被害については、重篤な健康被害の特徴として、高齢者、薬物服用者(一般薬を含む)、基礎疾患を有するケース、あるいはアトピー・アレルギーといった特異体質がベースにある場合において多く出現している。乳がん患者もこれらの要因に該当するケースが多いため、利用者に対して有害事象を注意深くモニタリングする必要がある。
 サプリメントと抗がん剤の相互作用については、乳がん治療薬の中には、タキサン類、タモキシフェン、ドキソルビシンなど、チトクロームP450(CYP)のような薬物代謝酵素やP-糖蛋白質のような薬物トランスポーターの基質となるものが含まれている。サプリメントの中にも、これらの機能蛋白質の活性を変化させ、薬物療法に重大な影響を及ぼすものがある。セントジョーンズワートはその代表であるが、最近では、ガーリック、イチョウ葉エキス、エキナケア、カバ、ニンジン(人参)などのハーブや生薬も薬物の体内動態に影響を及ぼす可能性が示されている。そのため、乳がんの化学療法を行っている患者ではハーブの併用は避けるほうが無難である。一方、キノコ類由来成分、サメ軟膏エキスでは、現在までのところ、抗がん剤との臨床上問題となるような相互作用の可能性は低いようである。」
参考資料
1)丸山徹、小田切優樹:乳がん患者におけるサプリメント使用の注意点,薬局.57(3)447-453,2006
2)内閣府食品安全委員会事務局(平成18年5月16日更新)「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」: http://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html
■ 急性期の医療機関内で発生する転倒・転落の3分の1は薬剤が関与 (2006年 07月 07日 15:44)
********************************************************************************
 東邦大学社会医学講座の藤田茂氏は「急性期の医療機関内で発生する転倒・転落の約3分の1に、何らかの薬剤が関係していることが分かっている。眠前(午後9時前後)に眠気やふらつきを引き起こす薬剤を服用した後、翌朝までに転倒・転落が発生した事例を収集した結果、転倒・転落に関係した薬剤の約半数が睡眠薬であり、睡眠薬と抗不安薬の約7割はベンゾジアゼピン系の薬剤であった。」と述べている。1)
********************************************************************************
 藤田茂氏は、「急性期の医療機関内で発生する転倒・転落の約3分の1に、何らかの薬剤が関係していることが分かっている。この研究は、眠前(午後9時前後)に眠気やふらつきを引き起こす薬剤を服用した後、翌朝までに転倒・転落が発生した事例を収集したものだが、転倒・転落に関係した薬剤の約半数が睡眠薬であり、睡眠薬と抗不安薬の約7割はベンゾジアゼピン系の薬剤であった。」と報告している。1)
 同氏はマイスリー(一般名ゾルピデム)の添付文書を例にとり、以下のように述べている。
「マイスリーの健康成人での消失半減期は1.78〜2.3時間だが、67〜80歳の高齢者ではその2.2倍になる。同様に、最高血中濃度(Cmax)は2.1倍、最高血中濃度到達時間(Tmax)は1.8倍、投与後24時間の血中濃度曲線下面積(AUC)は5.1倍であり、高齢者では血中濃度の高い状態が長く続くことが分かる。転倒・転落を引き起こす患者の7割以上は60歳以上であることから、高齢者への睡眠薬の処方時は半減期に配慮する必要があろう。
また、最近の研究では、半減期が4時間未満の睡眠薬は、眠前(午後9時前後)に服用した直後から午前2時ごろにかけての転倒・転落が多いが、午前2時以降は少なくなることが明らかになった。一方、半減期が6〜7時間の睡眠薬や抗不安薬は、眠前に服用後、しばらくは転倒・転落が少ないが、午前0時頃から午前4時頃にかけて多くなり、午前4時以降は少なくなっていた。
こうした傾向を参考に、睡眠薬の処方に際し、あらかじめ転倒・転落が発生しやすい時間帯を患者や家族、スタッフに説明し、注意を促すことも有効と思われる。
薬剤の半減期にかかわらず、Tmaxが短い薬剤、つまり血中濃度が急激に上昇する薬剤ほど、転倒・転落を引き起こす可能性も示唆されている。この知見にはさらなる実証研究が必要だが、血中濃度が急激に高くなる睡眠薬を処方する場合、服用前に必ずトイレに行っておくよう指導することが望ましいだろう。
オーストラリアの文献レビユーでは、転倒・転落の危険因子として、4剤以上の薬剤の併用が挙げられている。オランダの30万件のデータを分析した研究でも、ベンゾジアゼピン系薬剤を服用した場合の転倒・転落による大腿骨折のオッズ比は1.6だが、複数のベンゾジアゼピン系薬剤を併用すると2.5に高まった。多種類の薬剤を処方している患者、特に高齢者には、転倒・転落の危険性を説明する必要があろう。」1)
詳細については、引用文献を参照ください。
引用文献
1) 藤田茂:半減期が短い薬剤でも油断は禁物;NIKKEI Medical No.461,145-146,2006
■ PRO(患者による医療効果評価) FDAがガイドラインを発表 (2006年 06月 27日 11:25)
********************************************************************************
 「本年2月、アメリカFDAがPROの実施に関するガイドライン(案)を発表した。このような動きが行政レベルで検討段階に入ったことは興味深いことであり、近い将来、このPROが国際的にも導入される可能性があることを示唆している。」とくすりの適正使用協議会海外情報コーディネ−ターの鈴木伸二氏は述べている。1)
********************************************************************************
 鈴木伸二氏は、アメリカのPRO(PATIENT-Reported Outcome:患者による医療効果評価)について、次の様に解説している。1)
「このガイドラインでは、
@PROに関する行政の立場の見解、
APRO測定、評価方法、
B研究デザイン
Cデータ分析
のそれぞれの項目について解説がされている。
 ガイドライン作成の目的は、新薬の治験段階における有効性のエンドポイント評価に際して、このPROを一つの指標として用いることにある。ある新薬の許認可に対し、申請された適応症、安全性、用法用量が適当であるかどうかの判断データの一つとしてPROが使われることを目指している。
 このPROの測定、評価については、医師や医療関係者による判断をまったく排除し、患者自身の判断を求めている。その測定、判断範囲には、頭痛のような軽度の症状からADLならびにQOLにいたる広い範囲まで含まれている。従来から知られているQOLは、医薬品投与後の患者の身体的、心理的、社会的な変化を念頭に置いた判断であり、主として市販後医薬品の副効果的な判断、評価に使われている。しかしこのガイドラインでは、PROを治験の段階で、医療効果のベネフィットのエビデンスを提供する手段としても使うことを提案している。その実施に際しては、患者への質問票もしくはインタビュー形式が考えられ、それぞれに適した質問内容などの設定基準を規定する必要性が強調されている。
 従来の治験時の医療効果の判断は、担当医師が専門的な見地から症状項目に対する状態や重症度の判定などからなされていたが、このPROの導入により、患者自身がすることで、例えば歩行への影響、うつ状態の改善などが評価できるようになる。また単に症状改善についてだけでなく、そのような改善が患者の日常生活にどのような影響を及ぼしているかの評価もできるようになる。
 なぜPROの測定、評価を治験段階で導入する必要があるかという理由として、以下の3点があげられている。
(1)治療効果の一部は患者しか判定できないものがある。例えば痛みの程度とか痛みの内容などは、鎮痛剤などの評価では不可欠になる。
(2)客観的とされる判断にもとづいてなされた医療効果が、必ずしも患者の期待、願望と一致するとは限らない場合がある。例えば肺機能改善に際して、呼吸計の数値による診断と実際の喘息関連症状との間に関連性があるとは限らない(「手術は成功したが患者は死亡」では、PROはゼロである)。
(3)従来の医師の主観的な問診による判断よりも、一定の方式に沿って患者自身が設問に答える方が信頼性が高い場合がある。医師による問診では、質問の仕方次第でその返答が異なることがあり、一貫性が保証できない可能性がある。つまりpatient-reported outcomeの方がobserver-reported outcomeよりも妥当性のある結果が得られる場合があるというわけである。これで問題となるのは、同じ症状の改善についても、患者によって判断の相違、表現の個人差があることだ。」
 詳細については、引用文献を参照ください。
引用文献
1) 鈴木伸ニ:「アメリカのPROの動向 患者自身が評価する医療効果FDAがガイドラインを発表」;RAD-AR News 17(1)8-9,May 2006
■ 高血圧治療薬の話題-レニン阻害薬、アルドステロン拮抗薬- (2006年 06月 20日 10:28)
********************************************************************************
 レニン・アンジオテンシン系(RA系)に作用する医薬品として、まず、アンジオテンシンT(AngT)をアンジオテンシンU(AngU)に変換するアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)が開発され、ついでAngU受容体拮抗薬(ARB)が開発されましたが、新たなRA系阻害薬としてレニン阻害薬aliskirenが開発され注目を集めています。また、アルドステロン拮抗薬としてeplerenoneの開発は臓器障害に対する有用性が期待されています。1)
********************************************************************************
 加藤丈司らは、医薬ジャーナル 新薬展望2006 第V部 治療における最近の新薬の位置付け〜新薬の広場〜「高血圧治療薬」1) の中で「レニン阻害薬Aliskiren」と「アルドステロン拮抗薬 Eplerenone」の紹介をしています。概要は次のとおりです。
「●レニン阻害薬 Aliskiren
レニン・アンジオテンシン系(RA系)の作用は、アンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンT(AngT)を経てアンジオテンシンU(AngU)が産生されることにより発揮される。
RA系の律速酵素はレニンであり、RA系を薬理学的に抑制する試みとして、以前よりレニン阻害薬の開発が試みられてきた。しかし、多くのレニン阻害薬は、開発コストや薬剤吸収等の問題から、降圧薬としての実用化には至らなかった。
新たな低分子経口レニン阻害薬として開発されたAliskirenは、正常血圧ボランティアを対象にした検討で、Aliskiren 40−640mgの経口投与により、血症レニン活性、血中AngTおよびAngU濃度が低下し、血漿アルドステロン濃度と尿中アルドステロン排泄の低下およびナトリウム利尿作用が観察された。一方、血漿レニン濃度は上昇した。
ACE阻害薬ではAngU産生は抑制されるが、逆にAngT濃度は上昇し、AngTがACE非依存性(キマーゼ・アンジオテンシンU系)の経路によりAngUに変換される可能性がある。さらに、ACE阻害薬はキニンの代謝を抑制して空咳や血管浮腫を生じる。また、ARBにより、Ang1型(AT1)受容体を介した作用は抑制されるが、血中AngU濃度は上昇する。
一方、レニン阻害薬は、キニン代謝に影響を及ぼさず、血中AngU濃度も低下させる。

●アルドステロン拮抗薬 Eplerenone
アルドステロン拮抗薬スピロノラクトンは、腎臓の遠位尿細管および集合管におけるアルドステロンの作用に受容体レベルで拮抗し、Na+再吸収およびK+とH+排泄を抑制して利尿効果を発揮する。スピロノラクトンには、女性化乳房、勃起不全、月経異常等の副作用があり、降圧薬として繁用される薬剤ではなかった。従来、アルドステロン拮抗薬は、利尿薬のカテゴリーに分類されてきたが、米国合同委員会第7次報告(JNCZ)では、サイアザイド系利尿薬とは異なったクラスの薬剤として取り扱われている。また、JNCZでは、アルドステロン拮抗薬が、心不全と心筋梗塞を合併した高血圧に推奨される降圧薬としてあげられている。
 Eplerenoneは、選択的アルドステロン拮抗薬であり、薬剤そのものが活性体として作用を発揮する。アルドステロン受容体への選択性が高く、スピロノラクトンにみられる性腺機能に関連した副作用はほとんどないとされている。ACE阻害薬投与により血中アルドステロン濃度は低下するが、ACE阻害薬を継続すると、徐々に血中アルドステロン濃度が上昇してくる、いわゆるaldosterone breakthrough現象が観察されるので、ACE阻害薬の併用薬としての有用性も期待されている。
 JSH2004(日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2004)では、心不全を合併した高血圧の標準的治療薬として、RA系抑制薬、β遮断薬、利尿薬があげられており、重症例には、アルドステロン拮抗薬を追加投与することが推奨されている。Eplerenoneの心不全や心筋梗塞合併高血圧の治療における有用性が期待されている。」
 詳細については、参考文献を参照ください。
参考文献
1) 加藤丈司ほか:新薬展望 2006 高血圧治療薬.医薬ジャーナル42(S-1)483-489,2006
全59件  1 2 3 4 5 6  次≫