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■ イレッサの効果予測 (2004年 08月 05日 11:26)
 米国の2つのグループが肺がん治療薬「イレッサ」(一般名:ゲフィチニブ)の効き目を左右する遺伝子変異を突き止めた。東大医科研も遺伝子の発現解析による効果予測診断を計画中と報告されている。
 イレッサはがん細胞に高発現しているたんぱく質、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)に作用しがん細胞の増殖を抑制することが知られている。2つの研究グループは、イレッサが有効であった患者のEGFRには100%変異があり、無効であった患者のEGFRの大部分には変異がなかったことを明らかにしている。
 さらに、ダナ・ファーバーがん研究所は欧米人よりも日本人に、男性よりも女性に、腺がん以外のがんよりも腺がんに高い頻度で変異が起こっていることを明らかにした。しかし、EGFR遺伝子に変異がなくてもイレッサが有効であった患者が1人おり、100%予測は不可能とみられている。
                  日経バイオビジネス No.38,10,2004-8 より
■ 急性心筋梗塞後におけるARB(アンジオテンシンU受容体拮抗薬)、ACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)およびARBとACEIの併用について (2004年 08月 05日 11:06)
・ひとの心臓ではアンジオテンシンU(AU)の80%がキマーゼ経由、20%がACE経由であるとのデータが生化学的検討から得られている。
・ブタの再狭窄モデルに対するARBとACEIの併用で血管内皮機能に有意な併用効果が認められたとの報告がある。
・急性心筋梗塞後における予後改善効果について、大規模臨床試験VALIANT(Valsartan In Acute Myocardial Infarction)においては、高血圧治療薬ARBバルサルタン単独、ACEIカプトプリル単独、バルサルタンとカプトプリル併用の3群間で比較検討がおこなわれ、
全く同等の予後改善効果であることが示された。
■ SERM(Selective Estrogen Receptor Modulator) (2004年 08月 03日 11:38)
SERM(Selective Estrogen Receptor Modulator)
(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)
 本年5月、閉経後骨粗しょう症に適応をもつエビスタ錠(一般名:塩酸ラロキシフェン)が発売された。
エストロゲン製剤は、どの組織でもエストロゲンと同様に働く。ほてりなどの更年期症状や、骨代謝、脂質代謝を改善する反面、乳腺や子宮を刺激し、乳がんや子宮内膜がんのリスクを高めることが指摘されてきた。
これに対し乳がん治療薬のクエン酸タモキシフェンは、乳腺や脳に対してはエストロゲン拮抗作用を示し、子宮、骨、脂質代謝、血液凝固能に対してはエストロゲン様作用をしめす。
今回発売された塩酸ラロキシフェンは、臨床試験で子宮、乳腺に対しエストロゲン拮抗作用を示し、骨や脂質代謝(心血管系)に関してはエストロゲン様作用を示し、乳がんの発症リスクが少なく、骨粗しょう症に対する有効性が示された。
塩酸ラロキシフェンの登場を機に、エストロゲン受容体と結合後、組織によってエストロゲン様作用を示したり、抗エストロゲン作用を示したりする薬剤群をSERMと呼ぶようになった。

クエン酸タモキシフェン:乳腺(拮抗),脳(拮抗),子宮(刺激),骨(刺激),脂質代謝(刺激),血液凝固能(刺激)
塩酸ラロキシフェン  :乳腺(拮抗),脳( ― ),子宮(拮抗),骨(刺激),脂質代謝( ― ),血液凝固能( ― ) 

塩酸ラロキシフェンの組織選択的作用は、各組織における転写調節因子の発現の違い、ラロキシフェンが結合して生じるエストロゲン受容体の特徴的な構造変化および標的遺伝子の持つプロモーターの多様性などによると考えられている。
■ 禁煙に伴う服薬指導の注意点 血中濃度が変化する薬剤も (2004年 07月 29日 13:48)
 たばこの煙にはベンツピレン、ベンツフルオレンなどの多環式芳香炭化水素が含まれており、これらは肝臓でCYP1A2などの薬物代謝酵素を誘導するといわれている。従って、たばこを吸っていた人が禁煙すると、誘導されて増えていた酵素が減少し、結果として薬物の代謝が減少して血中濃度が上昇する。
 CYP1A2で代謝される薬剤には、主なものとしてテオフィリン、カフェイン、β遮断薬のプロプラノロール、三環系抗うつ薬、ジアゼパムなどがある。
 UDPグルクロニルトランスフェラーゼ(薬物のグルクロン酸抱合に関与する酵素)もたばこによる誘導を受けることが報告されている。この酵素の作用を受ける薬物としてアセトアミノフェンがあるが、禁煙によりアセトアミノフェンの抱合が減少し、結果として用量オーバーとなる。インスリンの場合、禁煙でその作用が増強するとの報告がある。
 このように、たばこと薬物の相互作用については、禁煙指導時、併用薬の作用増強、大衆薬や嗜好品の摂取に対するアドバイスなど、幅広い対応が必要である。
 
■ 高齢者の便秘に対するアントラキノン系薬剤と大腸黒皮症 (2004年 07月 29日 11:38)
 高齢者の便秘に対しては、センナ、大黄、アロエといった結腸に刺激を与えるアントラキノン系の下剤がよく使用されている。これらの薬剤を安易に連用すると、大腸粘膜の薬剤に対する感受性が鈍くなるため、服用量の増大につながる事も少なくない。
 アントラキノン系の下剤を半年から〜1年近く連用すると高率に大腸黒皮症を生じると報告されている。これは服用されたアントラキノン系薬剤が消化管で代謝され、できた色素が腸粘膜にとどまっておきると考えられている。
 慢性便秘に悩む患者さんの大腸内視鏡検査を行うと、大腸黒皮症の所見が高率に認められるが、悪性腫瘍との関連性は否定されているという。
■ 「にがり」と「痩身効果」 (2004年 07月 22日 13:17)
独立行政法人「国立健康・栄養研究所」の「健康食品の安全性・有効性情報」のホームページに、誤解されている健康情報の事例として、[にがり」と「痩身効果」が掲載されています。詳しくは http://hfnet.nih.go.jp/main.php をご覧ください。
■ トランスポーターデーターベースへのアクセス (2004年 07月 05日 10:19)
薬物の体内動態を支配する因子として薬物代謝酵素と同時にトランスポーターが重要であること解かってきています。トランスポーターに関する様々な最新情報を、トランスポーターデーターベース http://www.tp-search.jp/(東京大学大学院薬学研究科杉山雄一教授研究室作製)にアクセスすると得ることができます。  
■ 大衆薬の情報検索 (2004年 07月 01日 15:35)
薬局・薬店でお買い求めできる約4000種類の大衆薬の情報検索が、日本大衆薬工業協会のホームページ http://www.jsmi.jp/ からできます。その他、セルフメデイケーションに関する情報も入手できます。
■ 薬の副作用のデータマイニング (2004年 05月 02日 19:26)
厚生労働省が副作用データマイニングに五年をめどに実用化を目指すと発表しました。
厚労省には年間約2万5000件の副作用情報、海外の副作用情報などを合わせると、年6万〜7万件が集まるといわれています。
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